いもむしに会いに行こう!  〜さよなら名鉄3400系〜


長年、現役で活躍してきた名鉄の「いもむし」こと3400系がついにこの8月で廃車になるという。昨年、定期運用があるうちに、いもむしに乗りたいと思ってたが、結局乗れずじまい、そうこうするうちに、定期運用から外れてしまって、半ば諦めていたところだった。そんなとき、8月の土日を中心に「いもむし」のさよなら運転をするとの情報をGET!ちょうど18きっぷが1枚余る予定、渡りに舟とはまさにこのこと。さっそく、出かけることにした。
今回は、名古屋日帰りの予定なので、朝4時半起きで、支度をして、出かけたが、玄関を出たら、雨が降ってるのに気づき、傘を取りに帰る。なんか、出しなから、ついてないな。しかも、傘を取りに行ってる間に小雨になって、結局、傘はささずじまい。だがしかしあとでこの傘がものすごく役に立つことになるとはこのとき、思いもしなかった。
新橋から5時23分のムーンライトながらの折り返し373系使用の静岡行に乗る。夏休みの日曜日だったが、なんとか窓がわに腰掛けることができた。去年も同じ列車に乗ってるが、やはり特急型のリクライニングシートは快適である。3時間あまりで静岡に到着。静岡から浜松までは女性の車掌が乗務する211系。もう、女性の車掌とわざわざ言うほどのことはないくらいに珍しい存在でもなくなったけど...。浜松−豊橋間には、新駅も多い区間である。豊田町は91年、そして愛野は昨年2001年に開業したばかりである。浜松では5分の乗り換えで、特別快速に接続。5分の間に、朝兼昼で駅弁を仕入れる。浜松といえばやはりうなぎ弁当。しかし、買ったはいいけど、大垣行きの特別快速はとりあえず座れたもののものすごい混雑。客層からみて、浜名湖の競艇かなんかがあるらしい...。弁天島、新居町をすぎて、競艇へ行く客も降りて、幾分、車内は落ち着いてきた。

323M 373系使用の各駅停車の静岡行 浜松名物 うなぎ弁当 1200円

特別快速といっても、豊橋までは各駅に停車する。しかし、この特別快速って新快速や快速と何処が違うの?って思ったら、共和に止まらないのが新快速、さらに、大府にも止まらないのが特別快速であることが路線案内から判明した。大した変わりがないのに、3種類も快速を作ることに意味があるのかがちょっと疑問が残るところだ。
さて、そんな東海道線の旅も順調に進み、無事金山に到着。金山は、名鉄を海側から東海道線、山側から中央線を挟むようになっており、JR、名鉄、JRという、ちょっと珍しい配線になっている駅であり、そのうえ、地下鉄の名城線も接続しており、名古屋に次ぐ、鉄道の要所になっている。ここで、名鉄の夏トク1日乗車券2400円を購入。名鉄電車1日乗り放題プラス10時〜16時までの間なら特急特別車にも乗れるという代物である。ついでに、さよならいもむしの記念乗車券やJR東海のオレンジカード、そしてなぜか、サマージャンボ宝くじなんかも金山駅で買ってしまう。宝くじはまあ、勢いってやつで!(笑)
せっかく、特別車も乗れるんだからということで、犬山まで全車指定席特急に乗る。但し、指定券は発行されないので、空いてる席に勝手に座れという。しかも、座ってる席に座席指定券を持ってる客がきた場合は、譲らないといけないらしい。まあ当然だが。しかし、なんか煩わしそうだな。金山から乗ったので、比較的すいていたが、新名古屋からは案の定、かなりの乗車があって、やはり、自分の座ってる席に、指定券を持った客が来てしまったので、再び、空き席を探す。やっぱりこういうの落ち着かないね。もっとも新名古屋を出ると、下車一方でほぼその可能性はなくなるのだが。ともかく、ここで、やっと、浜松で仕入れたうなぎ弁当にありつく。

いました!いもむし! 早速、ホームへ駆けつけて...
看板式の行先表示に記念ヘッドマーク 戸袋窓に貼られた「さよなら3400系」のステッカー

犬山からは、期待に胸をふくらませて、いもむしの待つ新可児へ。新可児に到着すると、すでに、いもむしこと3400系はホームに入線しており、鉄道マニアで熱気ムンムン状態。その熱気の中に、自分も入っていく。車内は、鉄でかなり混雑しているが、座れないこともなく、とりあえず、空いていた、ドア付近のロングの部分に腰掛ける。そして、なんと驚いたことに、冷房がついている。エバーグリーン賞を受賞したことだけあって、概観を損なわないように、冷房装置は、連結面の床に置いてあり、天井には、バス冷房が設置されている。しかし、鉄の熱気のせいか、装置が古いためか、冷房の効きはあまりよくはない。車内では乗客があちことで持参の扇子やうちわをぱたぱたやっている。そのうち、発車時間になり、力強い吊り掛け音とともに、いもむしが動き出した。意外とスピードが出るのに驚く。そりゃあそうだ。この列車は臨時の筋でもなく、普通の定期列車なのだから。そんなにのんびり走ってもいられない。20分程で、犬山に到着。

側面の様子
名鉄の新可児駅 斜向かいにはJR太多線の可児駅がある

ここから、今度は、各務原線を急行で新岐阜へ向かう。往年の黄色の急行看板を掲げられ、一斉にシャッターを切られる。とりあえず、自分も、ホームの前後、そして、向かい側のホームへと駈けずりまわる。そして、犬山を発車、次の犬山遊園を過ぎ、2年程前まで自動車併用橋だった犬山橋梁を渡る。やはりここは一番の撮影の名所らしく、ものすごい人がこちらに向けてカメラを構えている。新鵜沼を出ると、三柿野まで急行運転になる。

車内の様子。
往年の特急車を彷彿とさせる転換式のロマンスシートが並ぶ。
エバーグリーン賞のエンブレム
効きは悪いがバス冷房が設置されている。 急行新岐阜行
二つの看板を掲げます。 未だに、定期の優等列車の運用につくとは...
名鉄の最新型300系との顔合わせ。 どうです。この堂々たる勇姿。

それにしても、定期の急行列車になるとは、いもむし、最後の花道なのであろう。三柿野を過ぎると、各駅に停車するが、沿線のそこかしこにカメラを構えた人が目につく。各務原線にはこの1往復しかないので、貴重な走行シーンになるのであろう。しかし、この列車はあくまでも定期列車。事情を知らずに、乗り込んでくる客は、いつもと様子の違う車内に一瞬戸惑っている。新岐阜では時間がほとんどなく、非常に慌しく折り返してくるおかげで、写真もろくにとれなかった。そのまま来た道を犬山へ戻る、途中、高山線と併走劇を演じて新鵜沼へ。ここで、業務放送。犬山橋梁に、多くのファンがいるため徐行するとのこと。危険防止のためかそれともファンサービスの一貫か?

並走する高山線を車窓から捉える。 犬山橋梁からの眺め。

そして、犬山に到着。いもむしはここから、再び、新可児行となり、当然、ここで、行き先と種別の看板を替えるのだが、小学生2人が、突然。「すみません。一瞬でいいんで、『準急』にしてください。 お願いします。」と叫びだす。係員が要望にこたえて、束の間の準急表示に。あんたら、偉いよ。と小学生を褒め称えながら、一斉にシャッターが切られる。しかし、この小学生、余計なひとこと。「ここにいる、マニア、全員が喜んでるよ。」(笑)。でも、本当のことだから誰も反論できず。まもなく、さよならのヘッドマークに戻されて、そして、いもむしは、新可児へと去っていった。さ、俺も、帰るか...

子供のファンからのリクエストに応えて準急表示が実現。 そして、正調の行先とヘッドマークに戻された。
側面の車番「2401」 側面の車番「3401」
そして、新可児へと向かって行った。

とりあえず、来た列車で、新名古屋へ向かう。残念ながらパノラマカーではなかったが、クロスシートの一番前に腰をおろして、半展望を楽しむ。新名古屋では、JRセントラルタワーの下のJR高島屋なんかでお土産なんかを買ったり、きしめんを食べたりちょっと散策する。このまま、JRで帰ってもいいんだけど、面白くないし、せっかく名鉄のフリーきっぷ持ってるわけだから、豊橋まで、名鉄の特急に乗っていく。JRの新快速よりは劣るが、それでも、最高速度120km/hでかっとばす。車内のLEDの表示に乗り合わせた小学生が歓声を上げる。知立、東岡崎といった、JRからは離れた地域を通るので、平行路線とはいえ、それなりの需要があり、車内はそこそこ座席が埋まっている。名鉄の豊橋付近は、歴史的経緯からJR飯田線と線路を共用する。それでも、飯田線の方はローカル線だからいいかもしれないが、本線の名鉄にとってはやりくりは苦しそうだ。ぱっと見たところ空いてる敷地がないわけでもないんだから、もういい加減に名鉄専用にレールをひけばいいのになんて思ったりもした。そういう理由で、豊橋の駅はJRと名鉄は改札内での乗り換えになる。

6500系 新可児駅 パノラマスーパー1000系
6800系 犬山駅 名古屋市交通局3050形
パノラマカー健在 急行新岐阜行 急行常滑行 看板式の行先と種別に注目!
パノラマスーパー 豊橋駅にて 浜松行 113系 豊橋駅

ここからは、JRの旅が続く、113系の浜松行き。最近、211系や311、313系が多くなってきただけに、なぜか113系が珍しくそして懐かしく思えてしまった。ボックスに若い女性の先客がいたが、さっきから、ずっと化粧をしてる。そんなに色つけまくらなくてもって思うがそれ以前に、やはり車内での化粧というのは、見ていていいもんじゃないよね。本当にイイ女というものは、家を出てくる時に、ばっちりと決めてくるものだ。途中、新居町からは行きに降りていった、競艇の客が再び乗り込んできて、かなりの混雑。にもかかわらず、相変わらず、斜向かいのお姉ちゃんは化粧をもくもくと続ける。携帯と違って、直接、迷惑がかかっているわけではないのだが、やはりマナー違反ということには変わりない。
浜松からの乗り継ぎは当然、静岡行とか、熱海行とかがくると思っていたのだが、ホームに入ってる列車の行き先は御殿場。見慣れない行き先にちょっと戸惑いを感じる。実は今回の鉄で1つ肝心なものを持ってくるのを忘れていたのだ。時刻表である。鉄するときは、いつも小型時刻表を携帯するのだが、なぜか、今回は、用意を忘れていた。時刻表であらかじめ御殿場行がくることが分かっていれば驚きやしないはずだったのだが...。よくみれば、形式も113系ならず、115系だ。こんなとこから御殿場線直通なんてあるんだ...。とりあえず、これに乗れば、沼津までは行けるよなってことで、乗り込んだ。しかし、浜松から沼津まで2時間と10分。ロングランだよね。で、気が付くと、冷房が効きすぎて、非常に寒い。半袖、半ズボン姿だからかもしれないが、本当にかなり寒い。隣の女子高生のグループも寒いって言い出したので、たまりかねて、扇風機のスイッチを切ってしまった。しかし、やっぱりそれでも、寒い。やっぱり、長時間冷房の効いた電車に乗るときは、短パンは避けて、なにか、羽織るものを用意したほうがよい。そして、振るえながら、沼津に到着。
沼津からの接続は、グリーン車連結の11両東京行き113系。いわゆる、東京口で当たり前のように走ってる東海道線である。最後の乗り換え、やっとここまで帰ってきたか。これでこのまま東京まで行けるかと思うとやっぱりちょっと安心する。さっきの冷房車にほとほと懲りたので、今度は弱冷房車に乗った。
列車は確実に東京へと向かっていくが、外の様子がどこか怪しげだ。すでに、暗くなって分からないが、雨が降り出してきている。大船を過ぎた辺りから、稲光も見えるようになり、横浜を出るころには、外はものすごい雨で、雷鳴も轟いている。新橋で降りて、京浜東北線に乗り換えたが、ホームと電車の間にも滝のように、雨水が流れていて、電車の乗り降りにも苦労するほど。結局、家につくまで、激しい雷雨はおさまらず、出掛けに取りに行った傘がここで役に立つことになったが、傘もかろうじて、頭と上半身の一部が濡れずに済む程度。下半身と、靴の中はずぶ濡れ状態となる。なんてこった。こんな鉄の終わりもたまにはありか...


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