上飯田線開業!


2003年3月27日、名古屋の名鉄小牧線の上飯田と地下鉄の平安通を結ぶ上飯田線(上飯田連絡線)が開業した。今まで名鉄小牧線は都心側の上飯田で線路が途切れてしまい、しかも他線も接続していないという孤立無縁の駅で、利用者はここからバスや徒歩で地下鉄の平安通まで移動せざるを得ないという不便極まりない路線だった。かといって、小牧線は需要の少ない線かというとさにあらず名古屋空港で有名な小牧市や、桃花台ニュータウンもかかえている名古屋のベッドタウンを有している線区なのである。
ちょうど18きっぷも余ってることだし、ちょっと行ってみるかということで、名古屋日帰りを決行する。列車は名古屋に行くときにはすでに御用達になってしまっているムーンライトながらの折り返しの373系使用各駅停車静岡行。春分を過ぎて、桜の便りも聞かれる頃。空もかなり明るくなっての出発である。陽光降り注ぐ東海道線をひたすら西に進む。春の海に太陽がキラキラと反射する様子がいかにものんびりしていて春らしい。遠くには真鶴の名勝三石も見える。熱海で10分程停車した後、丹那トンネルを抜けて、JR東海管内へ入る。東海道沿線には、1分から2分咲きとなった桜が車窓に彩りを添える。暖かくなって行楽シーズン到来ということで、主婦のグループ等も18切符片手に京都までお花見に行くという。しかし、静岡からの211系は相変わらずのオールロングシート車。せっかくの旅行気分を盛り下げるアイテムだ。それにしても、日本人って本当に桜が好きなようで、普段はあまり気が付かないが、本当にいろんなところに桜が植えられていて、車窓からのお花見は飽きることがない。

373系各駅停車静岡行 熱海駅 313系 特別快速大垣行 金山駅

浜松からは特別快速で金山へ。特別快速とはいうものの豊橋までは各駅に停車する。この区間はこの特別快速も含めて1時間あたり3本と本数も少ない。だからというか、それなのにというか、いつ乗っても、混雑している。もう少し本数が増えてもよさそうである。豊橋からは各駅に停車してきた鬱憤をはらすかのように特急並に飛ばしてゆく。
金山からは、地下鉄名城線に乗り換える。どれだけ乗るか分からないがとりあえず、740円の1日乗車券を購入。まずは腹ごしらえしようということで、栄で下車

名城線 平安通駅 名古屋の地下鉄でも広告電車走っています。
「EAON 水野美紀&坂口憲二」この二人、日本中の電車に乗ってますね。(笑)

TV塔を眺めながら、ひつまぶしを食べにいく。前にも書いたが、名古屋名物のうなぎのお茶漬けである。11時過ぎなので、まだ店は空いていて、並ばずに食べることができたが、店を出るころには、待ちが出るほど賑わっていた。さて、再び、名城線で、今回の目的である上飯田線との乗換駅である平安通へ向かう。

名古屋 テレビ塔 上飯田線 開通ポスター

名城線のホームからの乗換口は、鮮やかなピンク(NOVAウサギ色)の化粧板で遠くからでも分かりやすい。乗換口のコンコースには大きないけばなも飾ってあり、3日たっても開業ムードはそのままである。ホームに下りると、東京の三田線タイプのホームドアが設置されており安全対策も万全である。日中は15分ヘッドの運転で都心にしては少ない方だが、新線ということであるならば、こんなものだろう。ひとまず、車内に乗り込む。ロングシートとクロスシートが組み合わされた快適そうな座席が並び、当然、クロスシート席に腰掛ける。発車時点では車内の座席の5割方が埋まる感じだ。電車はいかにも新線区間らしくすべるように走り出してゆく。すぐに上飯田到着。この「すぐ」を小牧線沿線住人は何十年間待ちつづけたのだろう。ここまでは名古屋市営地下鉄で、ちょうど1日乗車券も持っているのでここで下車してみる。

平安通駅
名城線から上飯田線えの乗換口です。濃いピンクで統一されて
いてとてもきれいです。
開通記念の生け花がありました。
(またまた撮影失敗、後ろの鏡に撮影している自分が写ってしまっています。)
ホームへ降りてみます。 ホームドアが設置されています。
時刻表 日中は15分ヘッドです。 長年の懸案だった平安通−上飯田 たった一駅ですが
ものすごい価値ある1区間です。
名鉄300形 到着です。 平安通行
上飯田方のトンネル 折り返し犬山行

真新しい駅構内を通り抜けて、とにかく地上に這い出てみる。出たはいいが、ここがどこだかさっぱり分からない。とにかく、旧上飯田駅を見ておこうとおおよその検討をつけて徘徊を始めてみた。学生の頃に1度来ているはずなのだが、10年近くも前のことでさっぱり思い出せない。かくして広い道を少し歩いた右側にかつての上飯田駅を見つける。立派な名鉄上飯田ビルの2F部分が旧上飯田線の発着所なのだが、駅移転のお知らせとその脇になんとなく薄暗い階段がある。まだ階段自体は上がってもよさそうなので上ってみる。たった3日前まで普通に営業していただろうに、今は明かりも消され、柵で覆われて、すでに何年もの間、使われていないような雰囲気である。さらにその辺に放り出されたように置いてあるダンボール箱が余計に廃駅の雰囲気を盛り上げている。さて、今度は外からホームの様子を見に行く。下から見上げる分にはとても廃駅とは思えず、今にも赤い電車が入線してきそうな感じである。しかし、よく見ると駅名板は撤去されやはり廃駅なのである。今すぐには取り壊す様子はないが、そのうち、この高架駅は撤去されてしまうのであろう。

上飯田駅
上飯田は名鉄の駅になります。駅名標も名鉄バージョンですが、
名古屋市交のマークも入っています。
改札口の様子
ホームの路線図 平安通方面 ホームの路線図 犬山方面
上飯田駅 名鉄300系 車内の路線図

旧上飯田駅
旧上飯田駅です。
手前には新設の地下になった上飯田駅の入口があります。
駅舎移転のお知らせです。隣の薄暗い階段を上っていくと旧駅です。
たった3日前まで使われていたはずなのに、すでに廃駅の雰囲気です。 出札口と暗い改札口がなんとも言えず寂しそうです。
高架上の旧上飯田駅です。 駅名標が撤去されています。

名古屋市営地下鉄一日乗車券 桃花台線全線一日乗車券

さて、上飯田の散策を終え、小牧線をそのまま小牧まで行く。切符売場が混んでいて、次の電車の発車時間まで時間がなかったのでとりあえず、地下鉄の1日乗車券で入場してしまう。上飯田からもしばらくは地下を進み、味鋺(あじま)の手前で地上に出る。味鋺駅もこれにあわせてリニューアルされているようだ。ここからは従来どおりの線を進む。折りよく車掌が車内精算にきたので小牧までの切符を購入する。当然、JRのようなレシート式の車補かと思っていたが、なんと券売機で発券されるような裏が磁気の切符が出てきたのには驚いた。これならば自動改札機を通れるわけだ。15分ほど小牧に到着した。小牧で下りたのは久しぶりに桃花台新交通に乗ってみようと思ったからである。今まで、都心側のアクセスが悪いばかりに桃花台線の利用者は伸び悩んでいたが、この上飯田線開業を機にどのような変化があるのかを見届けてみたい。小牧駅を下りるとなぜか異様に賑やかだ。駅前で小牧市主催の鉄道フェスティバルが行われていて多くの出店が出ている。名鉄の鉄道ジャンクのオークションや大道芸人もいてとても賑わっている。次の桃花台線まで15分ほど時間があるので、ちょっと覗い てみるが、オークションは大須のサボなどのマニアにはそそるようなアイテムがでてはいるが、いずれも、ウン万という気が遠くなるような値段でせり落とされており、とても冷やかせる状態ではないし、グッズを売っているコーナーも大したものもない。時間もあまりないので、早々に桃花台線の改札口に向かう。

小牧駅
小牧駅 ちょうど駅前で鉄道フェイティバルを開催していました。
名鉄の行先看板のオークションを行っていました。
これからのパフォーマは名古屋できまり! 桃花台新交通の小牧駅名鉄と隣接しています。

ちょうど、ここでも1日乗車券を売っているようなので、窓口で購入。あとから気が付いたが、この日限定のものだったらしくついていた。そして、さらに、桃花台線運賃大幅値下げ 最大片道100円OFFのポスターが踊る。上飯田線開業に合わせて小牧−桃花台センター・桃花台東の運賃を350円から250円に大幅な値下げを行ったのである。今まで350円という割高感と上飯田の結節の悪さから桃花台ニュータウンの住民はバスで高蔵寺に出てJR中央線で名古屋に向かうのが一般的であったが、今回の開業と運賃の値下げで、高蔵寺へ向かう乗客を桃花台線、上飯田線に呼び込もうということなのである。今後どこまで、シフトするかも注目される。さて、ホームにあがるとまもなく電車の入線。降車ホームで乗客を下すと、そのまま、先に進み、日本ではここだけのループ線を通って乗車ホームに入ってくる。この新交通は他の都市の新交通と一風変わっていて、前方にしか運転台がなく、しかも、乗降ドアも進行方向に向かって右側にしかついていない。よって、終点で折り返し運転ができず、両端にループ線を設けているのである。またホームも全駅島式にすることにより、右側にだけド アを作ったのである。これにより、車両のコストを下げることができた。今まで、編成の両端には運転台。そして、車両の両側に乗降用のドアという日本の鉄道の常識を大きく覆した画期的な新交通でもあるのだ。さて車内で発車を待っていると、どうも今日はイベントが多いらしくこの桃花台線でも親子連れを対象としたスタンプラリーを開催しているようで、そのための特別列車が運行されているようだ。ヘッドマーク付きの列車が降車ホームに入線してきたので、思わず、写真を撮るが、残念ながら、この列車には一般客は乗れないとのことなので、元の電車で発車を待つ。発車して隣の小牧原まで名鉄と平行して進む。こんなところでたとえ一駅だが、平行路線があるのはなんか無駄なインフラに思えてならないが、桃花台線を小牧原発着にするわけにもいかずやむをえなかったのであろう。電車はいかにも新交通らしく、上下にアップダウンを繰り返しながら進んでいく。桃花台センターで大半の客を降ろし、小牧から15分ほどで終点の桃花台東に到着した。乗客を下すと、ここでもまたループ線を通って乗車ホームに到着する。このループ線は当然ながら小牧、桃花台東とも営業線ではないので乗車 することができないのがとても残念だ。上飯田線開業に伴い、この桃花台線もダイヤ改正をしたようだが日中は20分に1本なので、ここで1本落とすのも嫌なので、来た列車にそのまま乗って小牧まで取ってかえす。

桃花台新交通
小牧駅に進入です。 両端はループ線になっています。
イベントでヘッドマーク付きの臨時列車が運行されていました。
残念ながら一般客の乗車ができませんでした。
PEACH LINER路線図
車内の様子 進行方向右側にしか扉がありません。 後ろには運転台がありません。
(簡易運転台と思しきものは設置されれいるようです。)
後部はこんな感じです。 ループ線を渡っていきます。この区間は乗車できないのが残念です。
ループ線を通って桃花台東に入線です。 運賃値下げのポスター

桃花台線の小トリップを終え、再び名鉄小牧線で犬山を目指す。小牧から先は本数が減るわけでもなく15分ヘッドのままなのだが単線区間に入り、行き違いのために駅での待ち合わせ時間が長くなる。今ひとつ通勤路線に脱皮しきれていない現状がここでも伺える。平安通直通で今後、このあたりがどう変わっていくかにも注目である。そして右側から広見線、左側から犬山線が挟まれるように近づいてくると終点犬山である。犬山からは犬山線を名古屋方面へと向かう。ちょうど内海行急行が接続しており、慌しく乗り換える。犬山からだと特急、急行も走っており本線クラスの犬山線を利用して名古屋に出るのが一般的であり、小牧線・上飯田線経由で都心へ出る人は少なさそうである。これが東京なら、混雑緩和のための複々線がわりの別ルートということで整備されるのだろうが、中京圏ではそこまではしないらしい。それだけ、通勤にゆとりがあるのは羨ましいが、少し寂しい気がしないでもない。
その犬山線を地下鉄の乗り入れ駅である上小田井で下車する。上小田井は今まで急行は停車しなかったが、地下鉄の乗り換えの利便性を考慮して、数年前から急行も停車するようになった。いかにも地下鉄との分岐駅というような高架ホームの上小田井駅のホームで待つこと2、3分。どこぞで抜かしてきた地下鉄直通の名鉄100系がやってきた。地下鉄乗り入れ用に作られている車両でそんなに古くはないはずなのだが、前面のデザインがなんか古めかしいというかゴツイというか、スマートさにかけている。乗ってしまえば関係ないのだが...

急行内海行3500系 上小田井駅
数年前から地下鉄乗り換えの便を考慮して急行停車駅になりました。
鶴舞線直通用 名鉄100系 
上小田井駅 ここから犬山線から鶴舞線に乗り入れます。 名鉄路線図 上飯田−平安通に注目です。

鶴舞線を伏見で下りて、名古屋最後は東山線。東京で言えば銀座線、大阪で言えば御堂筋線にあたる老舗路線だ。といっても戦後の生まれなのだが...。しかし、先ほどの鶴舞線と違ってかなりの混雑。やはり名古屋の地下鉄のメイン路線である。さて名古屋での予定もこれにて終了。あとはひたすら東京へ帰る。その前に名古屋名物のみそかつ駅弁を仕入れておく。14時25分の特別快速浜松行に乗り込み名古屋をあとにする。相変わらず、車内は込み合っていたが、なんとか腰掛ける。しかし、とても駅弁なぞ食らう雰囲気ではない。浜松からは沼津行に乗り換えるがこちらも座れるものの行楽の帰り客で満員状態。弁当いつ食べようか...。それにしても、今日一日かなり気温が上がったせいか、行きには1〜2分咲きの桜がすでに7〜8分咲きになっている。本当に桜は一瞬のうちに咲くものである。

名古屋市営地下鉄 東山線 名古屋駅 313系浜松止まり&113系沼津行 浜松駅

さて車内はそのうち、すくかもと思っていたのだが、静岡からもそれなりに乗車があって、すいてくる気配は一向にない。家までお持ち帰りかな?と不安を抱きつつ、沼津で乗り換える。沼津からは東京行接続。ここでやっと空いてるボックスを探しだして、弁当にありつける。この電車、途中小田原で、快速アクティーに接続するというので、奇しくも今日から新駅舎になった小田原駅で乗り換えをする。いつもは前のホームで乗り換えられるはずなのだが、今日に限り発着番線が変更になっており、短い乗り換え時間にも関わらず、一度階段を上らなくてはならない。本当に乗り換え時間が短いので、せっかくの新駅舎も駆け足しながらちらっと見たきり。乗り換えたと同時にドアが閉まる。いよいよ最後の行程。快速アクティーって、各駅停車と大して停車駅数は変わらないから所要時間も変わらないのではという印象があるが、さにあらず、どこですっ飛ばすのか東京までで30分以上の差が出る。伊達に快速を名乗っているわけではない。平塚を過ぎ、藤沢、大船とあたりの景色も都会らしくなってくる。横浜からはもうおなじみの風景の中を各駅にとまって終点東京駅に到着。これにて名古屋日帰り 鉄の終了である。

みそかつ幕の内弁当 ひとくちカツにみそだれがついています。
快速アクティー 東京行 東京に到着です。行先はすでに折り返し運用の普通になっています。

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