びゅうコースター風っこ会津只見号に乗って...


18きっぷのシーズンということで、ここのところ毎週、鉄に出かけているのだが、今週は只見線に行ってみることにした。前回只見線に乗ったのはまだ学生時代だったからもう10年以上も前のことだし、場所的にも運転本数的にもなかなか乗るチャンスというものがない。最近になってもう1度乗りに行ってみたいと思うようになり、18きっぷでいけるかなって時刻表を眺めつつ昨年くらいから構想を温めてきた。<大袈裟(笑)。すると朝早く上野を出て、上越回りで行くと、なんとか1日で帰ってくることができることが判明。しかも、夏休みの土日は風っこ会津只見号が運転される。早速、指定券を取って、出かけることにした。

E213系 高崎駅 115系 水上駅

上野6時30分高崎行に乗るはずだったが、1本早い6時15分発の電車に乗ることができた。E231系のボックスシートで高崎まで行くが、このボックスシート、長時間腰掛けるには少々硬すぎるようだ。朝早かったせいもあって、大宮を過ぎたあたりから、高崎までは眠っていく。高崎では名物駅弁のだるま弁当を買って、上越線に乗り換える。水上行のホームにはすでにかなりの人がいる。1本早い電車できて正解だった。電車は6両編成だが、新前橋で前3両は切り離してしまうというのだから、余計に混雑する。運良く、一番後ろの車両に座っていたので事なきをえた。車内は谷川岳にでも向かうのであろう中高年の登山客と地元の客が入り乱れているという感じ。渋川で吾妻線と分かれて、1時間程で水上に到着。水上で、お決まりのオレンジカードを何点かあさる。

115系新潟色 水上駅 115系新潟色新色 水上駅

水上からは新旧の新潟色3両づつ6両編成の長岡行に乗る。新潟色に長岡の行き先。ここまでくると急に新潟県が近いことを感じる。列車は、あとから到着する特急水上を受けて、出発。一路上越国境へと向かう。新清水トンネル入口の標識が見えたと同時に、轟音とともに、暗闇の中に流れ込むとすぐに湯檜曽駅に停車。トンネル内の駅である。下り線はこの新清水トンネルの中だが、上り線のホームは地上にあり、湯檜曽駅の手前にループ線がある。新清水トンネルといえば全長13,490m、最近まではと言っても、もう20年前にもなるが、以前は日本一長いトンネルとして名を馳せていたが、平行する上越新幹線の大清水トンネルができて、青函トンネルができて、陸上トンネルでは東北新幹線の岩手一戸トンネルができてしまい、幾分、影が薄れた。それでも、長大トンネルには変わりない。そして、名物、土合駅停車。上り線は地上だが、下り線は、この新清水トンネル内にあり、しかも、486段の階段を上らないと改札口までいかないという日本一の「もぐら駅」なのである。でもって、エレベータもエスカレータもない。以前エスカレーターをつける予定があったそうだが、予算の都合で設置さ れないままなのである。こんな駅なのに、物好きなファンがかなり降りていく。見送る側としては気をつけていってらっしゃいとエールを送るのみである。

水上駅 水上駅 ホームの様子 左は湘南色の高崎行 右は新潟色の長岡行

やっとトンネルを抜けると、冬でもあるまいし、雪国というわけではなく、燦々と太陽が輝く地上に戻ってきたが、電車の窓の外側が一瞬にして曇った。いかに、トンネル内の温度が低いかが分かる。冬であればスキーで賑わうであろうゲレンデがあちこちに見える。夏に見るゲレンデというのも緑がすがすがしくてなかなかいいものだ。そして、通年停車駅になった上越国際スキー場前に停車。ここでも、数名が下車。通年停車駅になった甲斐があったようだ。小出では、自分も含めて風っこ目当ての客がそれなりの人数となって下車する。

高崎駅 だるま弁当 プラスチックのだるま型容器にはいっています。
容器は口の部分が開いており貯金箱になっていますので、
お土産にもなります。
中身です。下仁田こんにゃくや山菜など上州名物がふんだんに詰め込まれています。

只見線ホームには、東北標準色のキハ40が2両編成で停車中。風っこ運転日にだけ、接続列車として運転される臨時列車だ。早速、この列車に乗り込んで驚いた。なんと冷房がついていないのである。今時、まだ、JRに非冷房車って残ってたんだ...。しからば、窓を全開にして、風を入れるよりほかない。しかし、走り出すと、窓からそよぐ風が顔をあたってとても心地よい。1年365日、空調の入った電車にばかり乗っているので、久しく、こんな感覚を忘れていた。そして田舎の景色というのも空気がおいしい一因であろう。しばらくは集落の中を通っていくが、だんだん人里はなれたところを進んでいく。途中、何箇所かトンネルに入るのだが、なんとひんやりしていることか。天然クーラーとはまさにこのことである。窓全開では少し寒いくらいだ。

只見駅に到着しました。
タブレットの交換です。 只見駅。「風っこ会津只見号」の横断幕も見えます。
只見駅 只見駅 時刻表 下り(小出方面)4本 上り(会津若松方面)3本です。

只見の到着すると、すでにお目当ての風っこは到着している。乗ってきた列車はここで再び、小出へと折り返す。というわけで、2本の臨時列車の入線で、それぞれの列車へと乗り換える人で駅はしばし賑わいを見せる。乗り継ぎ時間は40分程あるので、比較的ゆっくり過ごすことができる。風っこを熱心に写真におさめている鉄(含む俺 笑)。風っこをバックに記念撮影をしている家族連れ。出札口で記念のオレンジカードを買ったり、18きっぷに下車印を押してもらう人の列。また駅前で地元の人が、特産品の漬物や煎餅を売っているのでそれを買う人などなど。ふと、改札口にある時刻表を眺めると、なんと本数の少ないことか。1日5本。しかも、只見止まりの列車の表記もあるので事実上4本しかない。ここまで少ないと果たして鉄道の役割を果たしているのか疑問に思えてくる。ただ、廃止、バス転換もされず、このようなイベント列車を走らせようというところをみると、多少は活性化の目があるのかもしれない。さて、そろそろ発車時間近くになって、風っこに乗り込む。40系気動車なのだが、車内はほとんど原型をとどめておらず、側面は、2ボックス分にわたって、大きく窓が取り 払われ、座席は木製のベンチに机が備わる。天井も化粧版が取り払われ、骨組みが剥き出し状態で、白熱灯がぶら下がる。

只見駅ホーム 旗が賑やかです。 風っこです。
側面はこんな感じに大きく切り取られています。 サボ
ヘッドマーク 風っことキハ40との並び
木葉マークのエンブレム 会津若松方から
もう1度ツーショット 発車時間もせまり、そろそろ乗客が乗り始めました。
車内の様子 このようなボックスベンチになっています。

列車が発車するとなるほど、「風っこ」とはよく言い当てたもので清々しい風がふんだんに入ってくる。そして、風光明媚なことこの上ない。なるほど風っこを走らせる理由がよくわかる。列車は只見川沿いをゆっくりと進んでいき、鉄橋では景色を楽しんでもらおうと速度を落とすサービスまである。しかし、3時間あまり、車窓に飽きることはないが、やはりベンチでは少々、ケツが痛い。座布団でも敷いてくれるといいのだが...。それから只見線といえば、駅名の頭に旧国名である「会津」がつく駅がとても多いことでも有名。福島県内では3分の2近くの駅名に会津がつく。その数は実に17にものぼる。会津坂下(ばんげ)あたりから、山間部を抜けて平野部に入ってくる。郊外の田園風景の中を爽快に進んでいく。西若松の手前で、会津鉄道と合流し、最後の行き違いを行う。長いようで短い、短いようでやはり長い3時間の旅も終わり、ようやく会津若松に到着。風っこだから、まだよかったが、これが普通の気動車であれば、いくら風光明媚な路線といえども飽きてきただろう。ただ一つ、せっかくの観光列車なのに、それらしい、車内放送がほとんどない。また、オリジナルオレンジカー ドなどの販売なんかもあってもいいように思うが、これもない。トロッコにのりながらビールで乾杯なんてことをしたい人もいると思うが、始発の只見駅にはKIOSKすらないので、仕入れることもできないのだから、車内販売なんかもあってもいいような気がする。もっとも、風っこは只見線専用というわけではないのだから、仕方ないのかもしれないが...。

会津川口駅 会津柳津駅
会津柳津駅に停車中の風っこ 会津若松近郊にきて景色が田園風景に変わります。
会津坂下駅 タブレット交換です。
会津坂下駅に停車中の風っこ。 約3時間の行程の後半、乗客はそろそろ飽きてきたかも...
留置線にラッセルヘッドが...冬は厳しい雪国になることを伺わせる。 西若松駅
西若松駅に停車中の風っこ。ここまでくれば、あともう少しです。 赤箱はけーん!
タブレットの玉を入れています。 送信を押しています。

会津若松で、ちょっとKIOSKや駅弁屋を覗いたあと、磐越西線で郡山へ行く。6両編成の磐西カラーの455系。途中、猪苗代では国鉄色となった、特急あいづともすれ違う。とにかく、郡山に出るまでに、会津若松で仕入れて弁当をたいらげる。会津しんせんぐみ弁当なるものだが、鯉の唐揚げや馬肉の旨煮という普段食べなれていない食材を使ったものが入っていてちょっとビビる。

会津若松駅 455系 磐越西線 会津若松駅
あいづしんせんぐみ おしながき
数の子宮泉酒粕和え・ぜんまいうま煮・山うど油炒め・鮭の塩焼・鯉から揚げ
きゃらぶき・馬肉しぐれ煮・会津駄菓子・山菜煮・しめじ煮・白飯・茶飯

郡山では719系で黒磯へ。この先、食料の調達が不可能になるので、さっき食べたばかりだが、ここでも駅弁を購入。何にしようか迷ったが、ネーミングとパッケージの絵が気に入って小原庄助弁当を購入。
「~エイヤ〜 会津磐梯山はたか〜らのや〜ま〜よ
小原庄助さん なんで身上つぶした
 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで
  それで身上つぶした
 あ〜もっともだ〜 もっともだ〜」

との福島県民謡で超有名人でもあるのだが、男なら、一度は、身上潰すほど、朝寝、朝酒、朝湯をしてみたいという憧れがあるだろう。結局、そこまで出来ないのが現代の男の悲しい性。それでは、せめて弁当だけでも楽しもう。(笑)。そして、パッケージの絵がいかにも、どうしようもないよっぱらいのおじさんって感じがなんともいい雰囲気である。しかし、この会津磐梯山という民謡ってすごい。何がって、たかだか、会津という一地方の民謡にすぎないのに、ほとんど全国民がサビくらい歌えるからだ。そんな民謡って他には北海道のソーラン節や九州の黒田節と数えるほどしかない。おそらく、昔、会津のお酒「会津ほまれ」のCMで流れていたからだと思うが、もう20年以上も前の話で最近は全然見ていない。

小原庄助弁当 よっぱらっている小原庄助像がなんともいい感じです。
朝寝 朝酒 朝湯が大好きでそれで身上つぶした
ああもっともだ もっともだ
中身は炊き込み御飯とおかずの2段重ねでかなり豪華です。
こんな弁当を毎日たべていたら、本当に身上つぶれてしまいます。

前置きが長くなったが、せっかく、719系のロマンスシートに腰掛けられたが、さすがに、さっき、食べたばかりなので、ここではおあずけにする。だんだん、外も暗くなっていき、白河の関を越えるあたりで日が暮れる。黒磯からはすぐに池袋行の接続があるが、大宮の手前で40分後に発車する快速ラピッドに抜かれてしまうので、ここでしばらく待つことに。しかし、夜の黒磯駅は見事に何もない。改札口にかろうじてKIOSKがあるのでここで、飲料を調達する。そろそろ折り返し列車が入線してくる頃なので、ホームに行く。当然、一部ボックス席のあるE231系だと思っていたのに、やってきたのはオールロングシートの211系。駅弁どうするよ...(汗;)とにかく、誰も乗り込んでこないうちに、車端部に座ってさっさと食べてしまおう。ということで、急いでたいらげる。幸い、電車がガラガラだったので、恥ずかしい思いをしないですんだ。そうそう、肝心の小原庄助弁当の中身だが、2段重ねの懐石風の豪華な幕の内弁当で、味もなかなかのものであった。

719系 黒磯駅

快速ラピッドとは言うものの、小山までは各駅停車。その小山までは1時間以上もある。夜で車窓も楽しめず、ロングシートということも手伝って、かといって眠くもなくちょっと退屈でだらだらとした時間が続く。特に用はないのだが、携帯いじったり、時刻表めくったりなってしてみたりするが、なんか虚しい感じがする。
あまりにも退屈ということで、途中で車内のトイレなんかにも行ってみた。その前に719系の時や、高崎駅でも気がついていたのだが、今までなかったトイレットペーパーが常備されている。そういえば、今年の3月に完全民営化が達成されたときに、首都圏の改札内の講習トイレにトイレットペーパーを備え付けるという案内があったし、回収した乗車券をトイレットペーパーに再生をしているとのことなので、その影響なのだろう。今まで、事あるごとに、JRを責めてきたが、今回は、このような何気ないサービスを誉めてあげたいと思う。

211系 快速ラビット 黒磯駅 快速ラビット上野行 側面方向幕

途中、古河や宇都宮あたりで乗ってくる人は、一様に、開口一番、「ああ、涼しい。」と言うところを見ると、夜になっても外はかなり蒸し暑いようだ。
さて、宇都宮を過ぎて、ようやく小山に到着。ここからやっと快速運転がはじまった。大宮をでると、あとは早い。荒川橋梁をさっさと渡って、東京にはいってくる。快速なので、赤羽を出ると尾久は通過で、終点上野は高いホームに22時15分に到着した。ほとんどずっと電車に乗りっぱなしだったが、1日で無事、只見線に乗ってくることができたということで、今回も終了です。


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