東北 消え行くものを追いかけて 後編


ゆっくり温泉につかったあとはスーパーはつかりで盛岡へ。今回、はつかりは幾度となく乗ったが、スーパーはつかりに乗るのは最初で最後。485系3000番代も、リニューアルされたとはいえ、所詮は改造車。やはり、ところどころにくたびれたところが見えるのは否めないが、このE751系は、本当に新しい特急らしく快適である。速度も、130km/h運転をするだけのことあって、とても早く感じる。

車販で買った南部季節弁当 あまり期待していなかったが、中には「うに」の姿も...ラッキー

盛岡からはまたまたE2系で上野へ。この乗り継ぎ、今回で何回目だろうか...(笑)。上野では、深い、深い、新幹線ホームから地上へと這い出るが、コンコースに大きなタイル製の上野をモチーフにした壁画があった。こんなとこにこんなのあったんだ。全然知らなかった...。そして上野からはまたまた東北の戻る。何やってるんだか。でも、ただ戻るんじゃないよ。11月末で廃止になる寝台特急はくつるに乗るのである。

E751系スーパーはつかり24号 盛岡駅 やまびこ 指定席 たまにはこんなショットも
それでは、ここから乗ります。 盛岡駅 新幹線上野駅コンコースにあるタイル画
上野動物園のパンダや不忍池の鯉などが描かれている。

さすがに、あと2ヶ月あまりでなくなるということで、昨日のあけぼのよりギャラリーが多い。はつかりって今回初めて乗るのだが、普段はやっぱり廃止されても仕方ないくらいしか乗っていないのかな?いくら新幹線が開業するとは行っても、まだ八戸までしかいかないわけだし、朝一に青森に行きたい人にとってはいまでも有効なはずだと思うんだけどな。やっぱり、盛岡・八戸間が第3セクターになってしまうのが原因なのかな。でも、北斗星やカシオペアは現行ルートで生き残るわけだし、3セクはこれから経営が苦しくなることが予想されるわけだから、JRからの直通のはくつるが走れば、それなりの収入になるだろうに。もっとも、完全民営化されたJR東日本だって、慈善事業ってわけじゃないんだから、採算がとれないなれば、廃止せざるをえないのだけど。さて、乗り込む車輌は昨日に引き続きゴロンとシート。1ヶ月前の発売日のお昼頃に買ったのだが、残席数1で、最後の1枚だったはずなのだが、乗車してみれば、自分のボックスには他に誰もいない。まじかよ。なんだよそれ。わざわざ、下席にしてくれっていったのに、これが最後ですって上席しかとれなかったのだ。

上野駅 発車案内のサイン 寝台特急はくつる
はくつるヘッドマーク 牽引機はEF81 138号 特急 はくつる 青森行 
はくつる テールマーク 1号車 ゴロンとシートの入口

結局、自分のボックスには、盛岡から、下席に一人乗ってきたきり。だったら、俺も下がよかったよ!たぶん、これはキャンセルが出たのではなく、3連休きっぷで座席だけ押さえときながら、予定が変わってもキャンセルしなかった輩のせいなんだろうな。もうこういうのは、マナーの問題だよね。乗らなくなったのならちゃんとキャンセルしてよね。最近、この3連休きっぷや土日きっぷは指定席も乗れるようになってきたけど、このへんをなんとかしてもらいたいよ。自分はまだ乗れたからいいけど、こんなことのために、本当に乗りたい人が乗れなかったら、問題だと思うのだが。さて、少々腹を立てながら、はつかりを八戸で降りる。

はくつる テールマーク 車内連結部分で撮影 青森に向けてもう一息 八戸駅

八戸では八戸線でちょっと時間潰し。新幹線開業に合わせて、八戸線も高速事業化されることになり、全国でも珍しくなっている通票閉塞がなくなってしまうのだ。そんなわけで、キハ48に乗り込んだ。八戸を出てすぐ、まずは貨物駅で交換のため待ち合わせだが、本八戸まではCTC制御である。貨物駅を出て、しばらくすると、左に八戸臨海鉄道が分かれてゆく。まずは鮫まで乗ってみる。鮫で列車交換があり、早速、駅員がタブレットの交換。原始的な方法に見えるが、タブレットを持っている列車だけが通れるといういたって、単純かつ最も安全な手法である。が、実際には、続行運転などもあり、見た目ほど単純なシステムではないのだが...。ここ鮫で、タブレットは○から□に変わる。そして、今までのタブレットは交換列車に渡された。

これから八戸線に乗ります。 キハ40 八戸駅 鮫に到着。タブレット交換。□から○へ。
○は車内へ運ばれました。 □はこれから後ろの列車に渡されます。
タブレット下部の□のたまが見えてます。
ガラス越しで見難いのですが、駅舎内に赤箱があります。 タブレット信号。

駅舎の方に行ってみると、中に、赤箱がおいてある。残念ながら、今回は、その操作を見ることはできなかった。本当はこの先まで行って、腕木式信号も見ておきたかったのだが、時間的な都合から、鮫から折り返す。種市までは色灯式信号なのである。

鮫駅 駅前にある8620機関車の動輪
運転士がタブレットを持って、運転室へ 八戸に向けて出発! 鮫駅

さて、帰りは、運転台の直後にかぶりつく。次の交換駅は陸奥湊。列車の交換はしないが、タブレットは当然行われる。

運転台。ちょっと見難いですが、左側にタブレットが掛かっています。 陸奥湊に到着。タブレット交換です。
ここで、□から△へ。 駅員さん、時刻確認です。

そして、本八戸。高架駅なので、タブレット交換がなんとも似合わない駅である。しかし、ここでは、駅長自ら、受け渡しを行っていた。ちょっと背が高くて、かっこいい駅長さんで背筋をピンと伸ばして、列車に敬礼する様はどこか汽車屋(ぽっぽや)の高倉健さんに似ている。次の列車まで、1時間ほど時間があるので、改札を降りてみた。八戸の中心地は東北線の八戸ではなく、実は、この八戸線の本八戸。市庁舎や市民センターもこの駅が最寄駅である。さて、少々お腹もすいてきたので、駅の中で、八戸ラーメンなるものを食したみた。これが、超あさっりで、東京のラーメンに近い感じというか、懐かしい感じがして、なかなかいける。もともと、最近流行りのとんこつ系は苦手なので、余計にそう感じたのかもしれないが。腹ごしらえも終えて、再び、八戸の汽車屋に見送られて八戸に戻ってきたが、帰りも、八戸手前の貨物駅で交換のため嫌というほど停車した。(涙)

運行表にはタブレットのマークも記載されています。 本八戸では駅長自らタブレットを受け渡します。
通標閉塞は本八戸以南で、八戸−本八戸はCTC制御です。 確認事項
本八戸駅 本八戸駅
ここが八戸市の中心です。市庁舎や公会堂、公民館もこのそばです。 八戸・青森方面ってのは分かりますが、
上野って言われてもね。間違いではないけど...
本八戸の汽車屋(ぽっぽや)です。 タブレットを受け取ります。

列車が八戸に到着すると、なんと、東北線の下りホームからは583系が出発しようとしていた。うわっなんだ。あれは。目で追いかけると、ヘッドマークには「団体」。もしかしたら、このあとのはつかりに乗れば、青森でお目にかかれるかも。なんて期待がこみ上げてきた。とりあえず、はつかりまでは少々時間があるので、新幹線開業前の八戸の駅の様子を観察する。ほぼ、完成はしているが、シートがかけられて、最後の工事を急いでいるところもまだある。新幹線が開業すれば、東京とはわずか2時間50分代。この街もがらっと変わるのだろう。少々気の早い構内の立ち食いそば屋の屋号はすでに「はやて」になっていたりもする。やはり新幹線への期待は大きいようだ。

戸駅 新幹線開業目前。最終の工事がまだ続いています。 あと76日
新幹線のホームです。 コンコース。東西自由通路になっています。
新幹線の改札口になります。 改札内の様子です。
こちらは、在来線からの乗換え口になります。 新幹線ホームは11、12、13、14番線になるようです。
ということは2面4線なんですね。
すでに、駅の立ちそば屋は「はやて」の屋号。

そろそろ、はつかりの入線時間になりホームへ降りる。自由席の方はそれなりに列ができているのだが、指定を取ってあるので、こういうときに、のんびりしていられる。八戸をでて、しばらくすると、すでに、その先の新青森までの新幹線の工事が始まっており、建設中の高架橋が見えてくる。しかし、新幹線はこの先は、在来線から大きく内陸の方を離れて通るので、車窓から眺められるのはここだけになる。陸上トンネルでは最長の八甲田トンネルなどもあり、今のところの予定では2012年の完成予定だそうである。さて、青森まで逃げると思われていた、先ほどの583系団体列車であるが、野辺地でこのはつかりが追いついてしまい、ここで、抜かすことになった。これなら、青森で確実に捕まえられる。

八戸から先の八戸−七戸間、すでに、橋脚があらわれています。新青森に向けて、早、工事が進められています。

青森到着後は、ちょうど、あけぼのが到着しており撮影なんかをしていたら、その583もはいってきた。やっぱりかっこいいね。でも、ちょっと外板が傷んでいるけど...

「あけぼの」の回送。 DE10が牽引します。 あけぼの
583系団体列車 「あけぼの」と海峡の並び

そして、青森からは、2日前に大湊で指定券を取った海峡で竜飛海底駅、そして、北の大地北海道へ向かう。海峡は今度のダイヤ改正で電車特急、白鳥・スーパー白鳥に置き換えられることになっており、これで、定期の座席客車列車は絶滅となる。ED79にはドラえもんの大きな顔と、50系客車にはこれでもかというほど、ドラえもんキャラクターのシールが張ってある。鉄道ファンからみれば、オリジナルの姿が好ましいものだが、竜飛海底駅を案内してくれたJR北海道の人に聞くところによると、ドラえもんのおかげで乗客が50%近くも増えたそうである。子供をだしに使い、当然、子供だけじゃ乗れないから両親がついてきて、下手すりゃ、じいちゃん、ばあちゃんまでついてくる。とのこと。乗客数の減っている海峡線では、ドラえもんはまさに、22世紀からやってきた救世主なのだ。

海峡5号 牽引機はドラ機のED79 3号機 青森駅 機関車側面にもドラえもん
客車もこんな感じです。 海底駅専用車 ここから乗り込みます。
で、これがその車両。 海峡5号は豪華8両編成 
ダイヤの関係で機関車の付け替えがまだ行われていません。

さて、話を少し戻して、青森を出発した海峡は、中間にカーペットカー、ドラえもんカーを連結して豪華8両編成。そのうち2両が海底駅見学専用車輌だが、竜飛海底駅の車輌には自分も含めて、12人。連休の割には少ない。しばらくすると、車掌がやってきて、海底駅見学の要領について簡単に説明しにやってくる。一通り聞いて、とりあえず、竜飛海底に着くまでに食事をしておかなければということで、急いで、駅弁をたいらげておく。で、いきなり、心臓が止まりそうになった。前の車輌から、のび太くんの着ぐるみが現れたのだ。これには、本当に驚いた。子供は喜ぶだろうが、あいにく、この車輌は自分が一番の年少者で、ほとんどが、50、60のおじさん、おばさんでちょっとしらけ気味。それでも、のび太くんは手を振って歩かなくてはならないところがちと辛い。(笑)。どんな仕事も大変なものです。(苦笑)。さて、蟹田からはJR北海道の乗務員に交代して、海底駅を案内する職員も乗り込んできた。そこで、若干詳しい説明と、青函トンネルに入るタイミング等の説明があった。そして、大小9つのトンネルを抜け、いよいよ世界最長53.8kmの青函トンネルに入った。トン ネルに入ると、50系客車の通路の上にどこまで進んだかが、ランプで示される。ちょうど15kmのところで、我々、見学者のためだけに、竜飛海底駅に停車。

青森駅で仕入れた「しゃけいくら釜めし」 中身はこんな感じ。しゃけといくらがこんなにはいってます。
50系客車内の電光掲示板 5kmごとに表示されます。 海面下96mまで下がりました。

車掌も繰り返し、見学専用車輌に乗ってる人以外は降りれないとの案内を繰り返す。が、普通の人ならこんなとこで降りようとは思わないだろうが...。以前に吉岡海底に降りたことがあるが、このときも、ホームがすごく狭かった印象があるのだが、やっぱり、ホームの幅はすごく狭い。幅は30cm〜40cmくらいであろう。だが、実際の乗車口には直角方向に通路が繋がっているので、乗り降りする際に危険は感じない。薄暗いトンネルの側道を案内の人においてかれないように、ついてゆく。トンネルは作業抗などの関係で、ちょっと迷路のように分かれているところがあり、下には工事で使っていたトロッコの線路も埋まっているので、ちょっとインディージョーンズみたいな感じ。まず、ここで、大きな、手荷物は預かってくれる。そして、外へ出るケーブルケーに乗るために、風門に行く。これは、トンネル内の換気をするためと万が一の火災に備えて、常時、風速1mの風が送られているのだ。そのため、風を仕切るのである。門と行っても次のような大掛かりなものである。まず巨大な壁のようなシャッターが警報音と共に上がるので、先に進むと、前にはもう1枚同じようなシャッターが 閉まっていて部屋のようになっている。この部屋に見学者全員が入ると、今入ってきたシャッターが閉じられて、部屋に閉じ込めらたような感じになる。完全に後ろのシャッターが閉まると、今度は前のシャッターが開いてこの門を通り抜けることになる。しかし、ものすごい風圧に少し圧倒されるし、後ろのシャッターが閉まるときなんか、もう、後戻りできない...まるで、地下秘密基地探検をしている感じでちょっとわくわくしてくる。(笑)。

竜飛海底駅に到着です。 これは作業坑です。
竜飛海底の駅名標 ホームではなく、通路にあります。 ケーブル射坑 といっても、ケーブルカーのものではありません。
中はちょっとした迷路のように、分岐があります。 竜飛定点

そして、今回の目的だった、地上へあがるケーブルカー乗り場に到着。このケーブルカー、ちゃんと免許路線になっているため、ケーブルカー完乗するためには乗らないといけないのだ。(笑)。ケーブルカーは車輌1両を巻き上げる方式。双行式が一般的な中、鞍馬寺とともに、珍しい方式である。また、直線を一定角度で登ってゆくというのも、珍しい。ひたすら直線なのだから、はるか先に終点が見えてもいいのに、なぜだか、終点は見えてない。実は、地上の駅の手前に先ほどと同じような風門があるからだ。地下ケーブルカーなのだが、雰囲気としては立山黒部アルペンルートと同じような感じ。トンネルの中をひたすら登ってゆく。登ってゆく途中で、出口付近の風門が開き、地上の明かりが見えてくる。なんかちょっと感動。(笑)。無事、地上の駅に到着。すると、また風門は閉じられた。さて、久しぶりに、外界にでる。光のまぶしさが目に沁みる。

これが、ケーブルカー 体験坑道駅です。 ケーブルカーの車内
地上の青函トンネル記念館駅に到着です。 これがケーブルカー もぐら号です。
風門が閉まります。 もう少しです。

そこで、青函トンネル記念館の見学となるのだが、案内係の人が、ここから、竜飛岬の方まで案内して下さるというのでついていくことに。記念館の裏手の出口をでて、丘を登っていくとまず目に付くのが巨大なプロペラ。東北電力の風力発電所である。そして、海側には青函トンネル本州方基地龍飛のサイン。10分程歩いたところに、石川さゆりの津軽海峡冬景色の歌碑があり、

♪ ごらんあれが竜飛岬北のはずれと
♪ 見知らぬ人が指を指す
♪ 息で曇る窓のガラス 拭いてみたけど
♪ 遥かに霞み 見えるだけ
♪ さよならあなた私は帰ります
♪ 風の音が胸を揺する 泣けとばかりに
♪ あぁ 津軽海峡冬景色

とボタンを押すと歌が流れ出す。その先はまさに、津軽海峡。今日は天気もまずまずで、北海道、函館山までうっすらと見えた。

青函トンネル本州方基地龍飛のサイン 縦坑の出入口だったところです。
風力発電の風車が見えます。 津軽海峡冬景色の歌碑
これが竜飛岬です。向こうにうっすらみえてるのは北海道です。 そしてこれが竜飛灯台です。

そこから、少し行ったとこに、世にも奇妙な国道339号の階段国道がある。その名のとおり、国道なのに、階段なのである。当然、車の走行は不可であることは言うまでもない。なぜ、こんな国道ができたかというと、崖の上の道路と崖の下の道路を地図上で見た東京のお役人が、ここを結べば便利じゃん。ということで現地の視察もせずに、地元の業者の発注してしまったそうである。ところが、実際にはすごい高低差があり、とても道路がつくれる状況ではない。かといって、東京のお役人の命令に逆らうわけもいかず、苦肉の策で階段で道路を作って繋げたということらしいです。これってまじ?これこそ、本当にお役所仕事。(藁)。でも、結果的にはこの階段国道、名所になって、こうして観光客も訪れているのだから、OKということでしょう。(ワラ)
そして、もう少し先進むと、真っ白な竜飛灯台。そして、竜飛岬の先端までやってくる。ここが本当に本州の北端のうちの1つ。しかし、この下には、青函トンネルが向こう岸まで続いているのだから本当にすごいものである。これで、竜飛のミニ観光は終わりなのだが、このあと、階段国道は行きたければ行ってどうぞ。とのこと。ツアーのほとんどがご年輩の方々だった中で、実際、階段を降りて、登ったのは私と、もう、一人20代くらいの男性だけ。ま、自分も、それなり、若い!ってちょっとだけ再認識。でも、やっぱり、疲れたけどね。(笑)。

階段国道の入口です。 階段国道案内図
このような石畳の階段が続いています。 ちょうど中間地点になります。国道339号線の標識もあります。
ここは、まぎれもなく「国道」です。
階段国道を降りきったところです。往復で20分ほどです。

さて、記念館に戻って、ちらっと、館内をみたけど、大した展示はなく、再び案内係に連れられて、ケーブルカーで地下へ舞い戻る。そこで、いろいろ説明。言うまでもなく、超難工事だったこと、途中で、水がでて、水没しかけたこと、シールド工法が使えず、爆薬による発破で掘り進めて、その土砂を運び出すという、ほぼ、手堀に近い状態。もう、まさに、プロジェクトXの世界。

♪ 風の中のすばる 砂の中の銀河
♪ みんな何処へ行った 見送られることもなく
♪ 草原のペガサス 街角のヴィーナス
♪ みんな何処へ行った 見守られることもなく
♪ 地上にある星を誰も覚えていない 人は空ばかり見てる
♪ つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
♪ つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう

って感じ。トンネル内は勾配があるのは当然だが、実は、左右にもカーブしているという。理由は、少しでも、浅いところを通しているからだ。列車は勾配に弱いので、深く掘ればそれだけ、勾配を緩くするために、さらに、長い距離をほらなければならないのである。そして、数々の難関を乗り越えて、最後は、当時の首相である中曽根総理が総理大臣官邸から最後の発破のスイッチをおして貫通に至った。北海道側、本州側でその誤差、わずかに30cmだった。

♪ 語り継ぐ人もなく
♪ 吹きすさぶ風の中へ
♪ 紛れ散らばる星の名は
♪ 忘れられても
♪ ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
♪ ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない

こうして完成した青函トンネルだが、問題は山積している。毎分、何十トンの地下水が出ているので、それを強力なポンプで地上にくみ上げなくてならない。その経費が年間、ウン十億。トンネルだから、当然、照明が必要。53.8kmにわたって、24時間、照明をつけなけらばならない。この電気代がまた、ウン十億。そして、保守のために、この地下で働く人が数百人。当然、この海峡線は赤字路線ということになっている。開通当時は青函トンネルブームで乗客数も多かったが、年々、乗客数も減ってきて、最近では快速海峡号は4両編成なんてこともしばしば。そこで、登場したのが、先ほど、お話したドラえもんのイベントなのである。お蔭様で、効を奏して、乗客が増えつつあると言うが、この12月1日から八戸新幹線開通に伴い、この海峡は廃止で、白鳥・スーパー白鳥になる。ドラえもんのイベントやこの海底駅見学も現時点では未定とのこと。(その後の発表で、海底駅見学は白鳥を利用して行われるとのことがJR北海道から発表された。)さて、再び、風門を通り抜け、JR北海道のオレンジカード即売のコーナーへ。早速、地下駅限定のカードをGET。特に、竜飛海底の駅名標 のカードは残り4枚だった。

青函記念館内の展示 冬季はこの作業用の青いケーブルカーに取り替えられます。
もぐら同様愛称がついており、なんと「北斗星」(笑)
下に下りてきました。海面下140Mです。 工事中はこのようにトロッコで作業をしていました。

気が付けば、3時間あまりの見学時間もあっと言う間にすぎ、海峡7号に乗るためにホームへ。改めて、本坑を眺めてみる。本当に、よくぞ掘ったものだと関心する。線路は、現在、1067mmの在来線用狭軌になっているが、新幹線用1435mmの線路も設置できるスペースが用意されている。いずれ、ここに東京からの新幹線が通る日がくるのだろうか?。しばらくすると、トンネルの向こうから、轟音と共に、ヘッドライトが見えてきた。

先進導坑です。このように、トロッコの線路が埋まっています。 これは本坑。やっぱり大きいです。北海道側を眺めます。
3階建てのビルがすっぽり入るそうです。
線路の様子。真ん中の四角形の部分はスプリンクラーです。
奥にスペースがあるのは将来、新幹線用に線路が敷かれるためです。
こちらは本州側です。
本州側より列車が入ってきました。 海峡7号の到着です。

結構混んでそうな中、我々は海底見学専用の車輌に乗り込むのでガラガラ。案内の人の計らいで、ほかに乗ってこないので、座席を回して、1人1ボックスでゆっくり函館へ向かう。今回の竜飛海底駅の見学。思いがけずに竜飛岬の観光までできて、大満足でした。機会があったら皆さんにも是非お奨めします。さて、ほどなくして青函トネンルの中間地点を通過。緩やかな上り勾配に変わり、北の大地を目指す。そして、途中、吉岡海底にも停車。こちらからは、子供連れの多くの見学客が乗り込んできて一気に車内が賑やかになった。しかし、単純に青森から函館に向かう客にとっては何の意味もない海底駅に2駅も止まるんだから、少々うんざりかも。(笑)。吉岡海底を過ぎると、青函トンネルもいよいよ、出口に近づく、約10分程で、北海道側に到着。おお、北海道までよくきたなあ。としばし感慨にふける。北海道側の最初の停車駅は木古内。よく聞く駅名だが、車内からみた様子ではそんなに開けた街ではなさそうだ。ただ、駅には北海道新幹線、早期実現へというような看板がたっていて、新幹線への期待は大きいようだ。右側は湾越しに函館山を眺め、左側は牧場やサイロ、牧草ロールなど の北海道のとば口ながら、北海道らしい風景が広がる。木古内からが意外とながく、1時間程乗ったであろうか、五稜郭に到着すると、すぐに、終着函館である。はるばる来たで函館へ。(笑)。

青函トンネルのほぼ中間地点です。 もっとも、深い海面下240mです。
木古内には北海道新幹線早期着工の看板がありました。 函館山を眺めながら進みます。

函館に来たはいいが、目的はこの海峡に乗るためで、すぐにとんぼがえり。折り返しの海峡10号に乗る。わずか30分の函館滞在である。帰りの列車では、指定がとれず、自由席なのだが、ホームでは、すでに、列が出来ている。とりあえず、一度はホームに下りないといけないので、列に加わって、座席を確保したのち、せっかく、北海道まできたのだから、函館駅構内のKIOSKでお土産なぞ、買ってみたり、駅弁買ってみたり。彼岸近くの夕方5時すぎ、あたりもだいぶ黄昏てきた中を再び、青森へ向けて出発した。

函館に到着。機関車はすでに切り離されています。 牽引機は ED79 21 これもまたドラ機です。
快速海峡のサボ 函館駅 立て直されることが決まっています。
中ではすでに工事が始まっています。
ドラえもんカー ラップ塗装が一段と派手です。 ドラえもんカーの車内です。
183系気動車 北斗 コンサドーレ塗装が入線してました。 こちらは281系 スーパー北斗
これらの列車群からも北海道にきたと実感します。

夕方の列車のため、木古内のほか、行きには止まらなかった上磯などにも止まっていく。そのかわり、青函トンネル内は、海底駅に止まらず。一気に通過。もっともこんな時間から見学なんてできるわけもないから当然だが・・・。53.8kmを30分足らずで抜けてしまう。妻面の点滅する電光掲示を眺めているせいか、意外に早い印象だ。その間、函館で仕入れた、駅弁を食する。最終日、最後の晩餐ということで、函館駅限定1300円もするいくら飯を奮発。この駅弁、なんと、御飯といくらが別になっていて、自分で、御飯の上にいくらをかけて食べるというもの。またそのいくらの数がはんぱじゃない。真っ赤に敷きつめらてた、いくら御飯を堪能しながら、青函トンネルの旅を楽しむ。その後は、トイレに行きがてら、車内探検。カーペットシートはかなり人気らしく、いくつかのグループが車座に陣取って、ほとんど宴会状態で盛り上がっており、ドラえもんカーでは、子供が夢中で遊んでいる。こういう、列車でしか、できない、空間、これから、もっと、増えていけば、鉄道の活性化にもつながると思うのだが...

函館駅限定のいくら弁当 中はこんな感じ。いくらが別容器に入っています。
これで完成。 青函トンネルを完全に抜けて、全ての赤サインがついた状態です。
本州に帰ってきました。
国鉄の灰皿健在でした。禁煙車でしたけど...(笑) 青森に到着した海峡10号。

さて、無事青森に到着して、またまたお土産あさりと、前回、仕切りそこなった、青森を走る列車がデザインされたオレンジカード10枚セットを購入。583のはつかり、はくつる、485のはつかり、客車のはくつる、あけぼのなどがセットにはいっている。どうせ、使うんだからと1万円気前よく払ってはみたが、いざとなると、もったいなくて、使わないんだろうな...(笑)。これで、思い残すこともなくなって、はくつるの出るホームへ。まだ、時間が早く、列車入線前。ベンチに座って、しばし、ぼーっと待つ。徐々に上野に向かう人々が集まって、青森駅のホームは今日、最後の賑わいを見せる。こうした風景も、あと2ヶ月半。はくつるがなくなると、もうこうした夜の賑わいはなくなるのであろう。最後のはくつるはゴロンとシートの下席が取れている。明日は平日というのに、昨晩と違いゴロンとシートは満席。自分のボックスにも、すでに、他の3名が席についていた。発車して、検札、そして、洗面を済ませたら、寝る体制に入る、今夜最後なので、しばし、カーテンの隙間から外をぼんやり眺める。どうやら、雨が降ってきたようで、路面が濡れている。八戸、そして、盛岡付近ま で起きていたであろうか、そのうち、眠くなってきたのでそのまま寝てしまった。

はくつる入線です。 夜、ホームの光に照らされるブルートレイン、美しすぎます。
牽引機はEF81 136号機 ちょっとボケ。
特急はくつる 上野行 上野到着です。

そして目がさめると、曇天の関東平野。ちょうど、古河あたりだろうか...。こういう雰囲気が味わえるから夜行寝台はたまらない。そして、もう、2度と乗ることはないはくつるは定刻通り、上野地平ホームに到着。今回の鉄も無事終了です。
って、今日は平日だろ。これからどうすんだよ。会社は?はい、休暇とってます。(笑)。さすがに、これから、会社行くほど、若くないっす。(笑)


東北 消え行くものを追いかけて 前編
YOKOHAMA EXPRESS HOME TRAIN TRIP INDEX

copyright (c) 2002 FUSHIKEN all rights reserved.