2004九州 〜ようこそ鉄道のテーマパークへ〜 後編
2004年6月11日(金)
今日は全九州フリーきっぷの最終有効日。やり残しや心残りのないようにしなければ。まずは最後の車内泊になったドリームにちりんを博多まで乗る。この後、熊本まで、「はやぶさ」の立席に乗る予定だが、3時間半も時間がある。ということで再び小倉へ885系の白いソニックで戻る。かもめに使っている車両のマイナーチェンジ車で、車内もほぼ同様の全席本革シートだが、色が黒からダークブラウンになっている。小倉ではやや時間があるので、門司まで「きらめき」を迎えに行く。「きらめき」と言うと思い出すのは、北陸線の米原−金沢間の新幹線接続特急だが、加越に統合され、(今は加越もなくなりしらさぎに統合された。)愛称として消滅していたのが、九州の門司港−博多間の朝晩の通勤特急として復活したのだ。北陸線時代のきらめきは学生時代の夏合宿で、先輩の権限を最大限に振り回して、兼六園の見学もろくろくさせずに、半ば強引に皆と乗りに行った思い出がある。確かこのときに白鳥にも乗った。その後、両方ともなくなってしまっているわけだから、今から思えば先輩としてのひどい仕打ちも良かったかななんて思ってる。(笑)。さて九州のきらめきの車種は残念ながら
北陸線時代同様の485系というわけにはいかず、783系や787系、885系と様々な車種がそれぞれ間合いで運用に入るという具合だ。今回のきらめき1号は783系の12両編成。今時12両編成の在来線特急っていうのはかなりすごい。他に思い当たるのは新宿−松本のスーパーあずさくらいだろう。編成は
門司港< みどり編成4+ハウステンボス編成4+ハウステンボス編成4 >博多
ハウステンボス編成同士の連結面はスラントノーズと切妻というちょっと変わった組み合わせになる。座席はグリーン席以外はすべて自由席ということでせっかくなので今回乗ることのなかったハウステンボス編成のクロハのハ座室に乗り込んだ。先頭車だからか、小倉を過ぎても、他に客は全くなく、貸切状態。12両編成なんているの?って思ったが、折尾、黒崎と止まるうちに少しづつ乗ってきた。まさに通勤特急で特急停車駅にはすべて停車し、さしずめ、快速の座席指定版と言った感じだ。博多到着時にはほぼ満席状態。時間も8時43分着と9時の始業に十分間に合うジャストインタイムに設定されている。さて時間潰しをしてもなおも1時間近く時間があるので、博多駅で朝食代わりに名物のとんこつラーメンを食べる。どちらかというとんこつは苦手なのだが、九州に来たのだから1
度は食べるものだ。
885系 ソニック1号 博多駅 | ソニック側面ロゴ |
783系 きらめき1号 ハウステンボス車です。 | ハウステンボス エンブレム |
側面のシンボルマークです。 | ハウステンボス車同士の連結面。 切妻とスラントノーズの独特の雰囲気です。 |
そろそろいい時間になり、はやぶさの入るホームへ行く。はやぶさと行っても鳥栖までは一昨日乗ったさくらと併結だ。わくわくしながら入線を待つが入ってきた列車を見ればなんとヘッドマーク無し。さくら・はやぶさが併結運転になった時、新ヘッドマークが作成されたが、またしてもどこぞの馬鹿な鉄道おたくが盗んだのだ。そのおかげでヘッドマークが不足して、このようなことになっていると鉄道雑誌で読んだことがある。しかしあれからだいぶ年月が経っているというのに、新たには作らないのかな。どちらにしても、こういう愚かな行為によって、ヘッドマーク付きの列車が見られなくなり、結局は鉄道ファン自身ががっかりすることになるということが、まだ分からないのだろうか。本当にこういう行為は絶対にやめてもらいたいものである。
博多駅 | 寝台はやぶさ・さくらの案内 |
はやぶさ・さくらの入線 ヘッドマークはありません。 | 行先方向幕 |
さて乗り込む車両はもちろんロビーカー。ここは定員ではないので、立席特急券でも遠慮せず座っていられる。先客はわずか2人。窓の方に向いたソファーにゆったりと腰掛ける。その昔も同じようにこのロビーカーに乗ったときは、今まで、鉄道にはなかった車内施設で本当にホテルのロビーのようでとても感動したものだが、20年近くたった今、改めて見ると、70年代から80年代の安いキャバレーにあるようなようなソファー(行ったこともないくせに!)と造花の観葉植物が妙に安っぽく見える。そろそろレイアウトの見直しが必要なのかもしれないが、その前にはやぶさ自体がなくなってしまうことの方を危惧したほうがよさそうだ。飛行機、新幹線と早い交通手段が次々と出来て、もはや20時間近くかかる寝台特急の役割はとうの昔に終わっているはずなのだが、やはりここでなにかしらの対策を打って欲しいものだ。高松や出雲市へ向かうサンライズエクプレスが成功したように、電車化で速度をあげ、全室個室化と対照的に指定席特急券だけで乗れるのびのびシートがウケたわけわけだ。また一方、北海道へ向けて走る西のトワイライト、東のカシオペアのようなワンランク上の列車も人 気がある。九州ブルトレもまだ生き残る活路があるように思えるが、如何せん、東日本、東海、西日本、九州と4社の思惑が絡み、また関門トンネルを境に電気方式も直流・交流と違いがあるので一朝一夕にはいかないのかもしれない。
ロビーカー外観 | ロビーカー室内の様子 |
さくら用に牽引機が待機しています。 鳥栖駅 | 24系25型 はやぶさ 久留米でリレーつばめに追い抜かれます。 |
はやぶさ テールマーク | 最後尾からの後展望 |
このはやぶさは博多の次は鳥栖に停車。ここで併結しているさくらを切り離す。私同様、鉄が乗っているらしく、この分割作業を見ようとホームに何人かの鉄が降りてきた。別線には、さくらを牽引すべき機関車がすでに待機中。こちらはヘッドマーク付き。ただし、分割=はやぶさの発車ということなので、私は分割を見ずに車内へ戻る。はやぶさは鳥栖を出ると、久留米、大牟田と停車駅は少ないが、速度は遅く、久留米で後からきたリレーつばめに抜かれる始末。しかしこうしてちょっと変わった雰囲気の列車に乗るのもたまにはいいものだ。一番後ろのデッキからは後展望も満喫できる。熊本には定刻の11時42分着。東京から夜を徹して乗っていれば、はるばるやってきてやっと終点熊本にたどり着いたという実感があると思うが、博多からではそんな感慨はない。適当に写真撮影をして、次の目的の熊本市電に乗りに行く。
洗面所 2ハンドル式の洗面所も珍しくなりました。 | 冷水器もまだ健在です。 |
終点熊本に到着 | ED76開放後 カニ24 |
熊本市電はすぐ駅前から出ているが、ここから乗ってしまうと田崎橋の部分の乗り残しができてしまうので、駅を出てそのまま右方向に5分ほど歩いて市電の終点、田崎橋までやってくる。たまたまやってきた車両はレトロ調のもの。早速乗り込んで、車内で運転士から1日乗車券を500円で購入。普通運賃は130円〜200円なので3回〜4回乗ると元が取れる計算だ。路線は田崎橋−熊本駅−辛島町−健軍町の2号線と上熊本駅−辛島町−健軍町の3号線の2系統。熊本も駅前より辛島町あたりの方が中心街となり、先に進むにつれ、速度も遅くなる。新水前寺付近で豊肥本線をくぐり、植物園前へ。ここから短い区間だが、分岐して延伸する予定だ。今、各地の路面電車で延伸の構想があるが、どうも、この熊本が一番早く実現しそうな気配である。その他にも、熊本電鉄の藤崎宮前と市電を結節する計画なんかもあるようだ。(市電が延伸するのか熊本電鉄が延伸するかはよく分からない。)また、健軍町から先の熊本空港までの延伸の構想もある。健軍町からは上熊本駅行に乗車。予定では、さらに折り返して、新水前寺から有明に乗ることにしていたが、思った以上に時間がかかり断念。延伸計 画も結構だが、まずは既存路線に路面電車優先信号を設け、速度アップをすることの方が先であろう。残念ながら今回は2乗車で元を取れなかった。
熊本駅 | 熊本市電1354号 |
レトロ電車 101号 | レトロ電車の車内 |
停留所にある路線図 | 1210号 オリジナル塗装です。 |
1356号 | 1353号 |
低床車8000系 | 元西鉄5044号 |
上熊本では、すぐにやってきたリレーつばめで熊本へ戻ってくる。1区間なのに特急利用です。(笑)。熊本駅では見本がちょっと豪華だったので水前寺なる駅弁を購入。次の有明に乗り込む。この有明は4両の有明仕様ではなく、6両の元つばめ仕様の787系。側面ロゴもTSUBAMEのままになっている。朝の博多ラーメン以来何も食べていないので、乗ってすぐに、さっそく、さきほど買った水前寺の蓋をあけるが、実物は見本ほど豪華な感じがしない。(笑)。パッケージも一見、高級そうに見える、黒の蒔絵風の紙箱だが、水前寺というネーミングとは全く関係なく、水前寺という文字さえ入っていない。中身も熊本らしいものが入ってるわけでもなく、味もまあまあと行ったところだ。有明は、行きに乗ったはやぶさやリレーつばめとは異なり、こまめに停車していく。次は久留米からゆふいんの森に乗るのだが、なんと乗り継ぎ時間はわずか2分。ちょっと不安なので、検札のついでに車掌に間に合いますかね?なんて聞いてもしょうもないことを聞いてみると「普通は2分あれば大丈夫ですが、ホームが違うので階段を上がって下さい。」とのこと。
上熊本駅 | 上熊本に入線する787系リレーつばめ |
熊本に到着したリレーつばめ | 787系 有明24号 写真だとちょっと分かりにくいですが、左のリレーつばめより 明るいグレーになっています。 |
熊本駅 水前寺弁当 | 中身です。 |
で、その久留米に到着。すでに、ゆふいんの森は入線しているので、階段を猛ダッシュ。発車ベルがなる中、なんとか滑り込みセーフ。(久しぶりに本気で走った気がする。鉄の運動はこれくらいのものです。(笑))。乗り換えることに精一杯で、ゆふいんの森について書かなかったが、全社指定で周遊きっぷとかだと乗りにくい印象があるが、実はたった300円(閑散期)を払えば、乗ることができる。今や、九州を代表する列車なわけでやはりこれに乗らないわけにはいかない。以前乗ったのがキハ71系で、今回はその後できた、キハ72系なので、初乗りということになる。この72系、ハイデッカーということで、出入口は階段状になっている。そして、目につくのが各車両の連結面が橋状になってること。文章ではちょっと説明しずらいので、写真をどうぞ。指定された座席は1号車の前の方。しかし、ここに、先客がいる。団体の客が席を移ったようだったが、空けてもらう。しかし、この女性中心の団体客は近年まれにみるうるささ。多少のことでは文句は言わないが、限度ってもんがある。さすがに耐え兼ねて、女性の客室乗務員に申し出て、うるさいので席を替えてもらう。自分だけか と思っていたが、別の婦人客も同様の申し出があり、自分だけが文句を言ったわけじゃなかったんだってちょっと安心。座席は満席なのだが、車掌持ちの同じ車両の後ろの席に替えてもらうことができて、やっと静かになった。検札にきたちょっとロマンスグレーの渋い男性の車掌も、前の団体のお客様がお賑やかで申し訳ありませんと、苦笑い。この賑やかな団体はドヤドヤと日田で降りて行った。やれやれ。
72系 ゆふいんの森 | 車内の様子 |
さてこのゆふいんの森はワゴンサービスもあるのだが、今時、本当に珍しくなったビュッフェがあるので、わざわざ3号車のビュッフェまで行って買い物をする。新幹線は東海道・東北・上越ともにすでに全滅、つばめもリレーつばめになる前準備の段階で消滅、現在、ほぼ定期で走っているビュッフェはこのゆふいんの森くらいなものだ。この珍しくなったビュッフェで買い物をするというのも悪くない。まずは、300円の由布院産のカボスジュースを購入。すっきりした甘さで、なかなかおいしい。そして、特製「ゆふいんの森弁当」。先ほど食べたばかりだが、どうせなら、車内限定のこの弁当を買っておこうとたくらんだ。とりあえず、買っておくだけで、紐解くのはまた後ほどということで・・・。由布院には16時42分の到着。乗り継ぎは16時45分発の大分行普通列車。3分しかない上に、久留米では駆け込み乗車だったために写真もとっていない。1枚くらいはカメラに収めたいと思って、途中で停車時間の長い駅はないかと思っていたが、どこもすぐの発車。しかたない、終点の由布院で急いでとるしかないな。ということで、由布院に到着する間際に席を立って、ドアのところでスタ ンバってたら、客室乗務員に「お天気がよくてよかったですね。」と声をかけられる。梅雨時なので、晴れを気遣う言葉だが、鉄っぽい格好をせず、普通の旅行者のような井出達なので、まさか、すぐに大分に乗り継ぐとは思わなかったのだろう。こっちも、一応、「ええ、おかげさまで。」と調子を合わせておいた。(笑)。結構、美人だったが、そんなことより、頭の中ではこのゆふいんの森の写真を撮ることの方でいっぱい。このとき、初めて、自分の頭の中の図式が「女<鉄」ということに気付く。いい年こいて、結婚できないはずだ。(笑)。ところがだ、到着間際に、「由布院到着後、このゆふいんの森号と一緒に記念撮影は如何でしょうか?客室乗務員がお写真をお撮り致しますので、どうぞ、お声をおかけください。」との放送がご丁寧に入る。これは1番に飛び出て、シャッターを切らないといい写真が取れないぞっとますます焦る。幸い、由布院駅はバリアフリー対応のおかげで、大分方に、スロープと構内踏み切りができており、階段を駆け上る乗り換えはしなくてすみそうだ。さて、扉が開き、小走りに列車前方に行き、即効で撮影に成功。反対側のホームに渡り、ここでも写真を撮る。 すぐに、乗客がドヤドヤと前にたむろして、撮影会が催された。とゆっくりその様子を見物する余裕もなく、大分行の発車ベル。なんとか目的を達成して、無事に大分行に乗り込んだ。
ハイデッカーのため連結面はご覧のような橋渡しになっています。 | ビュッフェです。 |
由布院に到着したゆふいんの森5号 | 由布岳 |
ワンマンのキハ200で、元篠栗線の赤い快速用の車両である。福北ゆたか線の電化に伴い、転出してきたのだ。南由布を出てその次の湯平に停車、降りる客もなく、再び、発車し加速し始めたとたん、後ろの車両から男性客がすっとんできて、大声で「すみませーん」。何事かと、車内の乗客が注目すると、「ドアがあきません。」と叫んだ。あ〜あ。この列車、ワンマンだからね。一番の前のドアしか開かないんだよね。ということでそのまま列車は加速。近くの客が、そのように説明すると、「そんなこと、分からないよ。」って。ですかさず、「でも、放送で言ってますよ。」と言われると、グーの根もでなかった。確かに自動放送で各駅に停車するごとに「一番前のドアしか開きません。お降りの方は一番前のドアからお降り下さい。」と律儀に放送している。見ると、何人かの家族連れのグループ。話に興じて聞き漏らしたのだろう。しかし、こんな人数なんだから、誰か一人くらい気付いてもよさそうなものを。まあ、どうせ、東京か大阪で、ワンマンなんて無縁の世界で、駅に到着したら、すべてのドアが開いて当たり前みたいなところしか知らない人は、無理ないことなのかもしれない。この グループは、次の庄内ですごすごと降りていった。幸いと言ってはなんだが、時刻表によれば、15分くらいで、反対方向の列車がくる。ひどいときには、1時間〜2時間もこないときがあるのだから、それを思えば、この人達はまだついている。運転士もこの先の小野屋で交換する対向列車の運転士に誤乗の申し送りをちゃんとしていた。ご苦労様。列車の方は大分の市内に入ってゆき、夕方のせいか地元の高校生が多く乗り込んできて、大分に到着した。
久大本線 キハ200 元篠栗線の赤い快速です。 | 2回ともふられた185系九州横断特急、正調塗装 大分で出会いました。 |
側面ロゴ | 側面の円形マーク |
大分からは、ソニック48号で一気に博多へ。日豊線は遅れているらしく、その前のにちりんシーガイアにも間に合ったが、783系にはドリームにちりんで嫌というほど乗っているので、見送り、始発の883系ソニックに乗り込んだ。以前にも同じ印象を持ったが、883系の車内はやたら賑やかでちょっと落ち着かない。赤、黒、緑の耳形のヘッドレストのデザインも個性が強すぎ、個人的にはあまり好きではない。しかし、速度の方は振り子機能を如何なく発揮して130km/hでかっとっばす。大分から小倉は複線区間だが、あとから線増されたらしく、上り線、下り線で大きく線路が離れているところがあり、右側に座っていても単線かと思うことが多い。さてまもなく行橋というところで、先ほど、ゆふいんの森の中で買っておいたゆふいんの森弁当を包みを解く。仰々しくお品書きなんかが書いてあって、一見、豪華そうに見えるが、中身自体は、先日食べた、つばめ弁当にそっくり。それもそのはず、つばめ弁当と同じ業者と由布院の旅館が提携して作った弁当なのだ。つばめ弁当の時は結構、こきおろしたが、これはゆふいんの森弁当ということだから、これでよしとしておこう。しかし、 つばめ弁当もそうだったが、デザートが、牛乳豆腐ときなこのおはぎというのはかなりのマイナス。どちらも、私があまり好きではないからで、これも私の印象を悪くしている一因だ。小倉で座席の向きを変え、博多には20時18分の到着、大分からの所要時間は2時間3分。随分、近くなったものだ。
883系 ソニック48号 大分駅 | 側面ロゴ |
側面の様子 | 車内の様子です。ミッキーマウスにも似たカラフルなヘッドレストが特徴です。 |
ゆふいんの森弁当 | 中身です。 |
さて、全九州フリーきっぷの期限は今日まで、今日は夜行泊というわけにはいかないので、博多駅の近くの三井アーバンホテルに宿泊。これはツアーでとったのではなくインターネットで個人予約。価格はなんと5500円。シーズンオフだし、休前日でもないからだろうが、それなりのビジネスホテルにこの価格で泊まれてしまうとはお得だ。とりあえず、チェックイン。荷物を置くとすぐにまた出かける。金曜日で男一人、この時間に外出となれば、普通は中洲あたりにでも繰り出すと思うのが普通であろう。しかし、行き先はもっといいところ。博多駅にとって返して、21時25分発の特急かいおうに乗るのだ。(笑)。1日1往復の福北ゆたか線を走る特急で、直方出身の相撲取りの名前を付けた特急となれば、乗らないわけにもいくまい。そして、やっぱり最後の最後までフリーきっぷを使わなきゃ損しちゃうでしょ。この特急もきらめき同様、完全な通勤特急。しかし篠栗線、筑豊本線の特急なんて、何十年ぶりの復活なのだろう。電化されて愛称が福北ゆたか線となったが、それにしても、語呂が悪すぎで言いにくいことこの上ない。もう少し言いやすい線名にして欲しいものだ。車両は6両の
つばめ仕様の787系で、発車間際には通勤客が多く乗るのかと思えば、そうでもなく、座席はまだ十分に余裕がある。ホームの電光掲示板には、この列車は直方行、かいおう号です。有明号ではありません。お乗り間違いのないようにご注意下さいと案内が出る。確かに787系だと間違いそうだし、有明だと思って乗ったら、まったく別のところに連れていかれて、大変な目に遭う。しかし、この案内があるということは、今まで、少なからず、そういう不幸な人がいたのだろう。時間帯から言って、酔客であればなおのこと、間違いやすい。お気の毒様。
発車時間になりほぼ定刻で出発した「かいおう」は吉塚までは鹿児島本線と平行に進み、ここから篠栗線に入るが、夜なのでほとんど景色は分からない。最初の停車駅は筑豊線と合流する桂川(けいせん)。当然ながら、この先は降りる一方で、乗ってくるお客は皆無だ。飯塚、新飯塚と停車し、平成筑豊鉄道と連絡。博多を出てちょうど50分で終点直方に到着した。直方では「かいおう」に乗った余韻に浸る余裕もなく2分接続で折尾行に乗る。
折尾では今回、本当に最後となる、最終のソニック58号で博多へ戻る。車両は885系。最後に、お気に入りの車両にも乗れていたく満足する。それにしても58号という数字の大きさはすごい。ソニックは1号から順番についているのだから29往復ということになる。全国でも有数の本数の多さであろう。革張りの椅子にもたれながら、博多に22時43分に到着。全九州フリーきっぷの期限まであと1時間17分を残して終了。これで元とったかな?なんてもんじゃないよね。きっと10万円分くらい乗ったでしょ。ということで、今度こそホテルに戻って久しぶりに足を伸ばして眠った。
特急かいおうの案内 | 787系 特急かいおう 博多駅 |
行先方向幕 誤乗防止のためか黄色です。 | 博多駅に到着した885系 ソニック58号 |
2004年6月12日(土)
早いもので1週間、いよいよ今日が九州最終日。昨日で全九州フリーきっぷは切れてしまったが、まだまだ最後の鉄に繰り出す。朝7時チェックアウト。まずはJRで八幡へ向かう。当然ながら普通に券売機で切符を購入。朝食として博多わっぱめしを買って、7時29分発の813系快速に乗り込む。車内で食べようと企んだが、座るのがやっとで弁当なんてとても食べれそうもない。福間を過ぎ、ややすいてきたので、急いで弁当を食べようと試みたが、赤間で再び、高校生が大量に乗り込んできたので、食べかけの弁当を即座にしまう。やっぱり朝の快速で弁当を食べようなんて考えが甘かった。
八幡からは、帆柱ケーブルへと向かう。この帆柱ケーブルを乗ることで、日本全国のケーブルカーをも制覇することになるのだ。八幡駅から帆柱ケーブルまでは、やや距離があるのだが、バスなどの公共交通機関はなく、20分強の道のりを歩いていく他はない。しかも、途中から坂が急になり、かなりしんどい。こんなことなら、駅前からタクシーに乗ってしまえばよかった。おそらく1メーターくらいですむはずだ。急坂を登り切ったところで九州自動車道を横切る。ここに高速帆柱ケーブルのバス停もあるので、福岡−小倉の高速バスを利用してこの帆柱ケーブルで降りるというのも手だったかもしれない。この高速を横切るとすぐにケーブルカー乗り場である。
博多わっぱ弁当 | 中身です。 |
八幡駅 | 帆柱ケーブルのある皿倉山 中央から右に上にかけて斜めにケーブルカーの軌道が見えています。 |
帆柱ケーブルは八幡の近郊にある皿倉山に登るケーブルカーなのだが、山の名前ではなく、山麓の地名の帆柱をつけている。始発は9時で、ちょうどその前に到着。窓口でリフトまで通しの往復券を購入。自分の他は親子連れが1組乗る。車両は2001年にリニューアルされた際に導入されたスイス製の全面ガラス張り車両。出発すると最大傾斜28度を約5分で山上駅に到着する。ここから皿倉山山頂まではリフトに連絡、すぐに、乗り換えるが、始発は9時15分ということで試運転中。しかし、私が、行くと、ちょっと早いが、運転を開始。一番乗りの客となる。それほど長い距離ではないが、3分間の空中散歩を楽しむ。リフトを降りると、すぐにそこが山頂。電波塔が沢山立っているのが目につく。とりあえず、ベンチに腰掛けて、さきほど、電車の中で食べ残した弁当の続きを食べる。しかし、晴れていてこんな気持ちいい場所だったら、車内で肩身の狭い思いをしないで、最初からここで弁当を食べればよかった。山頂からは八幡の町だけでなく、若戸大橋から、関門海峡を越えて、下関方面まで見渡せる。しかし他にこれといって楽しめる施設もなく、15分もいれば十分なところで、再び、 リフトとケーブルカーを乗り継ぎ山麓まで降りてくる。帰り道は行きとは違い下り坂になるので、行きに比べて随分楽になる。帰りにケーブルカー乗り場で気が付いたが、休日は昼間の時間帯を中心に1時間に1本、八幡駅から無料送迎バスがあるとのこと。もっとも、朝だったので、どっちにしろ使えなかったが・・・。
帆柱ケーブル 山麓駅 | 山麓駅で出発を待つ「はるか」スイス製の車両です。 |
途中でかなた号とすれ違います。 | カーブを曲がるとまもなく終点です。眼下には北九州市が一望できます。 |
山上駅 | リフトに乗り換えて山頂を目指します |
リフトの駅 | 山頂には沢山の電波塔が立っています。 |
皿倉山山頂 | 山頂からの眺め |
下りはかなた号に乗ります。 | 車内の様子 |
車内からの眺め | 山麓駅に戻ってきました。 |
八幡駅に戻ると、ちょうど準快速がきたので、それに乗って、香椎まで戻る。香椎からは1区間だけ香椎線に乗って、和白へ。と言えば、もう分かると思うが、西鉄宮地岳線に乗る。和白駅は、JRと西鉄が隣接しているにも関わらず配置の関係で乗り換えがちょっと煩わしい。共同の橋上駅舎を設けてすっきりとさせて欲しいところ。西鉄の駅は有人駅だが委託らしく、おばちゃんが窓口に鎮座している。今時珍しく、自動券売機がなくこの窓口で切符を買うようになっている。しかし、中に発券機があるようで、売られるきっぷは券売機から出てくるようなものだ。
香椎線キハ47 | 国鉄時代から残る駅名標 九州では所々でみかけます。 紺地に白抜きでこの古めかしい書体、今ではほとんどみかけなく なりました。 |
JR和白駅 | 西鉄和白駅 JRの駅とは隣接していますが、 乗り換えは踏み切りを越えなくてならずちょっと不便です。 |
この西鉄宮地岳線は本線である天神大牟田線とは接続されてなく、車両も大牟田線のお古が使われていて大牟田線では見られなくなった車両がまだ元気に活躍してる。車両カラーも濃いアイボリーに赤帯で、ちょっと前の西鉄カラー。とりあえずは津屋崎まで行ってみる。西鉄は大手私鉄だが、この線は、単線でローカル地方線色が色濃い。逆方向のため車内はガラガラで津屋崎に到着。ここの駅員も委託のおばちゃんで、和白同様自動券売機はなく、このおばちゃんから貝塚までの切符を買い求める。折り返しは600系。運転台に接した展望シートに腰掛ける。先ほど乗った和白を出ると、JRの鹿児島本線を左に見ながら進む。津屋崎出発時点ではガラガラだったが、各駅に停車するごとに乗客が増し、貝塚到着時には、かなりの立ち客がいる状態になった。貝塚では地下鉄箱崎線に接続しており、たった数十メートルはなれた場所から発着する。乗客のほぼ全員がこの地下鉄に乗り継ぐわけで、かなり昔から、地下鉄と宮地岳線との直通運転の要望や計画はあるのだが、未だに実現はしていない。
西鉄宮地岳線310系 | 津屋崎駅 |
ここで線路が途切れます | 津屋崎駅に侵入する600系 |
津屋崎で出発を待つ600系 | 貝塚に到着した350系 |
貝塚では地下鉄の1日乗車券600円を買うが、券売機では売ってないので、売店で買い求める。1日乗車券なんてものは大抵は不案内の観光客が買うわけで、売店でしか売っていないというのはちょっとわかりにくい。とりあえず、まもなく発車ということでホームに入線してる2000系に飛び乗った。途中、中洲川端で空港線と合流して天神で下車。ここで西鉄大牟田線に乗り換えるのだが、場所が良く分からない。できれば、1時の特急に乗りたいので、地下街のショッピングセンターの受付嬢に場所を聞いて走り出す。多くの人が乗り換えるのだからもっと分かりやすくすればいいのにって思ったが、自分は初めてみたいなものだから、分からないに違いない。自分だって東京の乗り換えは我が物顔で乗り換えをしているが、あの複雑な路線網と乗り換えは東京以外の人には分かりにくいんだろうな。なんとか西鉄の福岡天神駅にたどりつき、窓口で二日市・柳川のクーポンを買い求めようとするが、改札口の窓口に行ってくれと言われる。そして、改札口の窓口に行くと、この脇の案内所に行ってくれと言われる。なにそれ、ほとんどたらいまわし状態じゃん。でも文句言ってる時間もないので、案
内所に駆け込んで、クーポンを購入、案内嬢は特急がまもなく出ますので、ここで説明しませんので、中のパンフレットをよくお読みくださいとのこと。慌てて、改札口を駆け抜けて、発車間際の特急に乗り込んだ。
料金不要の特急の人気は上々らしく、ほぼ満席に近く、後ろから順番に空き席を探して前に移動、先頭車に辿りついたところでやっと空席を見つけて腰掛けた。天神福岡を出発すると、すぐに薬院に停車。そして次は二日市に停車するが降りる客はほとんどいない。久留米で若干、乗客が入れ替わり、大きく減ったのは、大善寺。その間、JR鹿児島本線とは付かず離れずといった感じだ。そしてまもなく柳川へ。JRには最寄駅がないために、ここは西鉄独占駅であり、観光地にもなっているため、大いに賑わっている。せっかく滅多に乗ることのない西鉄に乗ってるわけだからとゆっくり写真をとって改札口へ。
福岡市営地下鉄2000系 なぜかピンボケ | 西鉄 天神大牟田線 特急車8000系 |
そして言われ通り、柳川観光の案内所へ入ろうと思った瞬間、70を越えたと思われる老人に、いきなり拉致され、ライトバンに押し込められた。でついたのが、川下りの船着場。(笑)。本来なら、駅から船着場まで10分程、歩いていかなくてはならないはずだが、どうも、福岡駅の案内書から、13時の特急で川下りの乗客が1人いると連絡が入ったらしく、出迎えにきてくれたようだ。もう2時近くで、川下りを始めるには、ちょっと遅い時間帯なのだろう。最終便に間に合わせるためのようだった。そんなことなら、柳川駅でのんびり写真なぞ撮ってくるんじゃなかったとちょっと反省。(笑)。すでに、他の乗客を乗せて、船は出発を待っていて、私が最後に乗り込ませてもらうと、私を拉致した老人がいきなり半被をはおり、竹ざおを持って船に乗り込んだ。このおじいさん、船頭さんだったんだ。と、かくして2時間にわたる川下りは出発した。柳川という地名らしく、川べりには柳の新緑が美しく映え、ところどころ、花しょうぶなんかも咲いており、実に情緒がある。北原白秋の故郷ということで、白秋にちなむ、石碑も多く存在する。川下りと言ってもほとんど流れのない堀を竹ざお一本 で操る、船頭はまさしく職人芸だが、いい天気の昼下がり、急流下りでもないわけで、最後はちょっと気だるい雰囲気。なかには気持ちよさそうに居眠りする人もいる。(笑)。下船場は、柳川駅とはだいぶ離れたところで、とりあえず、ここで、ちょっと遅い、お昼にと、うなぎのせいろ蒸しを奮発する。東京で食べるうな重みたいなものだが、それがせいろに入って蒸されているという柳川の名物料理である。でもおいらは、銀座竹葉亭のうな重の方が好きだなあ...(笑)。食事のあとは、バスで柳川駅へと戻る。バスの本数もそんなに多くはなく、観光利用もあるというのに、ちょっと不便。大抵の人はタクシーを使っているようだ。
柳川 船下り さあ出発です。 | 川岸には柳並木が続き、情緒があります。 |
この辺は川幅も広いです。 | 竹ざお一本でのんびりと進んでいきます。 |
緑に覆われた中を進みます。 | 柳川名物 うなぎのせいろ蒸し |
柳川からは、一度大牟田まで行ってみる。大牟田の1つ手前の新栄町付近からJRと平行する、大牟田の市街地にあたり、かなり賑わった様子だが、新栄町にはJRの駅はなく、西鉄はこの駅も特急が停車する。そのままJRと平行して大牟田に到着。駅は共同使用で、昔は、中間改札口もなかったが、今は、JRと西鉄と分けられている。折り返し特急で今度は二日市へ。大牟田ではすいていたが、かえって新栄町からの乗り込みの方が多い。
西鉄柳川駅 | 柳川に停車中の8000系 |
西鉄7000系 柳川駅 4ドアです。 | 西鉄7500系 柳川駅 7000系と同じように見えますが こちらは3ドアです。 |
大牟田駅 西口 西鉄側です。 | 大牟田に停車中の8000系 |
8000系側面方向幕 大きな字で3色使用で見やすく表示されています。 |
6000系 二日市駅 |
。二日市からは大宰府線に乗り換える。夕方6時近くで、参拝なんかできないかと思っていたが、参道では、まだ客の呼び込みもしていて、境内には参拝客も大勢いた。ちょうど菖蒲園がオープンしており綺麗に咲き誇った菖蒲も見ることができた。
大宰府駅 | 大宰府駅名標 観光地らしく梅の絵入りです。 |
こちらはノーマルの駅名標 | 太宰府天満宮までの参道です。 |
太宰府天満宮 本殿です。 | ちょうど菖蒲園が見ごろでした。 |
さて、今回の予定もいよいよ終了。あとは西鉄の写真でも撮りながら、ゆっくり福岡に帰ろう。とりあえず、二日市まで戻る。ここで急行に使ってる元特急車だった2000系に乗ろうと思い、1本特急をやり過ごした。下り方向には、急行運用に2000系が入ってきており、とりあえず、写真を撮っておいた。いよいよ上りにも急行が入ってきて、車両をみると、なんとアイスグリーン色。どういうこと?結局、これ以上は時間がないので、6000系の急行に乗ってすごすご帰ってきた。最後の最後で悔しい思いをしたが、西鉄の2000系は、またの機会にしよう。どうせ、福岡には来年の2月に地下鉄七隈線が開通するのでこなくてはいけないし、春の18きっぷのときにでも乗りにくればいいや。
5000系 大宰府駅 | 5000系こちらは幌なしです。 西鉄の車両は運転台側のみパノラミックウィンドウになっている のが特徴です。 |
元特急車2000系 現在は主に急行運用に入っているようです。 | 6000系 |
7500系 | 8000系島原半島号 |
8000系 二日市駅 | 6000系 |
すでに19時を回り今夜21時5分のフライトで羽田に帰るわけだから、そろそろ空港に向かわないと。福岡(天神)から空港まで地下鉄で1本だが、博多駅で、土産物を物色するべく一度下車。会社の人に配る「つばめクッキー(限定品)」を買う。今度こそ、福岡空港へ。最後に乗った電車は筑肥線からの直通の103系。ここの103系は、全く103系らしくなく、どちらかというと105系に似た感じである。
飛行機は帰りもJクラスにしたかったが、窓際があいていないのでそのままエコノミーに。まだ少し時間があるので、空港内の売店で、さらに土産物屋、高菜の辛子付けとか、めんたいこせんべいとかくだらないものをいろいろ買い込んで、飛行機に乗り込む。帰りはさすが、羽田−福岡の幹線ということでジャンボ。しかし座席はガラガラで窓側3席を占領して帰ってくる。福岡空港は市街地にあるので、夜間飛行の場合、離陸するとすぐに宝石箱をひっくりかえしたような100万ドルの夜景が広がるが、上空は曇ってるらしく、すぐに、霞んで見えなくなった。所要時間は1時間半。これには滑走路からターミナルへの移動時間も含まれているので実質のフライト時間は1時間少々。やっと上昇して平行飛行になってシートベルト着用サインが消えたと思ったら、もう降下が始まるといった感じだ。梅雨時で前線を通過するため、若干揺れるとのアナウンスがあったが、それほど大きな揺れもなく、羽田に到着。相変わらず、羽田は滑走路から到着スポットまでが長い。行きはバスだったが、帰りは直接、ターミナルについた。預けている荷物もないので、すぐに空港を後する。ホームに停車していた京急
は、横浜方面直通の久里浜行。とりあえず、遅くなると嫌なので、これに乗ってしまって京急蒲田で乗り換え。これならモノレールの方が早かったかな?
福岡市営地下鉄1000系 博多駅 | 筑肥線直通JR103が乗り入れてきます。ここが103系の西限です。 しかし、あまり103系らしくない103系です。 |
JAL1738便 B777です。 | 羽田に帰ってきました。 |
そんなわけで、今回もなんとか無事に終了。梅雨入りしてからの出発で天気は諦めていたが、7日間のうち4日間は晴れてくれたので、まずまずだったと言える。目的もほぼすべて達成。九州新幹線そしてラクテンチケーブルと帆柱ケーブル乗ったことで、JR、ケーブルカーを含む私鉄にこれで完乗!おめでとう!!と言いたいところだが、実は昨年暮れに開業した名古屋の地下鉄名城線砂田橋−名古屋大学にまだ乗っていないので、残念ながら現時点では完乗とはならない。10月6日に残りの新瑞橋−名古屋大学、そしてあおなみ線もこの日に同時に開業するということで、このあとにでも名古屋に行ってくることにしよう。なかなか完乗というのを維持していくのも大変です。(笑)。 完
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