財政状況


横浜市営地下鉄の開通時からの財政状況です。ご覧の通り、開業してから、四半世紀、たえず新線の建設工事に追われ、大変厳しい状況です。交通局も省力化や職員数を削減したりと、いろいろ努力しているようですが、ここまでくると、そんなことでは「焼け石に水」のような感じもします。しかし、これは、決して交通局の経営方針が悪いからではありません。というのは横浜に限らず、東京(都営)、大阪、名古屋等の他の大都市の地下鉄事業も大幅な赤字になっており、いずれも鉄道施設(駅、車両など)の原価償却費及び、新線建設のために借り入れた企業債の支払利息が財政を圧迫しています。しかし、どこの都市でも地下鉄は多くの市民に利用され、早くて、安くて、安全で、快適な乗り物です。また、一人あたりのエネルギー消費量は他の交通機関に比べ、格段に少なくてすみ、環境にも優しい乗り物といえます。このように市営地下鉄は現在の市民生活にかかせない存在になっています。そういった状況の中では赤字が問題というより、このような赤字になるようなシステムになっていること自体に問題はないのでしょうか?そもそも、新線の建設費を交通局が負担していくこと事態に無理が あるのではないでしょうか?例えば、新横浜―あざみ野間の建設費用は用地買収費を含めて約2400億円がかかっていますが、これを一人、一回あたり、200円から300円の乗車運賃の積み重ねで返していき、なおかつ、維持費や職員の給料までまかなわなければなりません。また、平成9年度には、乗車料収入が216億円で支払利息は211億円とほぼ収入と同額が利息の支払いに消えてしまっていることを考えるといかに建設費の負担が大きいかがわかります。一応、横浜市の場合、平成32年度には累積赤字が解消される予定となっていますが、今後も3号線、4号線(横浜環状鉄道)等、計画路線はたくさんありますし、本当に今から20年で全ての赤字が解消できるというのは甚だ疑問であります。それでは各都市に路面電車や地下鉄がはりめぐらされている、鉄道先進国のヨーロッパではどうなっているのでしょうか?ドイツでは各都市の鉄道の建設や運営には自動車のガソリン税が当てられたり、パーク&ライド方式(郊外の駅前に無料の大駐車場を用意して、自宅から郊外駅までは自家用車、そこから鉄道を利用して都心部に出る方式。)をしたりして行政と市民が一丸になって鉄道の運 営を支えています。もちろん、日本には日本の事情がありますので、すべて参考になるわけではありませんが、地下鉄は我々市民の大切な足でもあります。市や交通局まかせではなく、私達自身でも、よりよい鉄道運営を考えてみてはどうでしょう。


年度 乗車人員/日
(千人)
車両数 乗車収入
(百万円)
経常損益
(百万円)
累積損益
(百万円)
備考
昭和47年度 23 21 99 555 555 上大岡 ― 伊勢佐木長者町 開通
昭和48年度 22 21 311 △602 △75  
昭和49年度 27 21 386 46 46  
昭和50年度 31 27 447 920 964  
昭和51年度 70 42 1479 △5 913 上大岡 ― 上永谷、伊勢佐木長者町 ― 横浜 開通
昭和52年度 103 45 2,641 △2,473 △1560  
昭和53年度 114 70 3,219 △2,738 △2,957  
昭和54年度 118 70 3,734 △3,188 △6,068  
昭和55年度 126 70 3,989 △3,024 △8,926  
昭和56年度 126 70 4,836 △1,403 △10,094  
昭和57年度 128 70 5,129 △1,052 △10,784  
昭和58年度 134 70 5,429 2,131 △8,205  
昭和59年度 143 126 5,779 4,149 △3,498  
昭和60年度 192 126 8,441 △10,207 △13,240 上永谷 ― 舞岡、横浜 ― 新横浜 開通
昭和61年度 198 126 9,823 △7,854 △20,628  
昭和62年度 222 138 11,138 △10,229 △28,316 舞岡 ― 戸塚 開通
昭和63年度 238 138 12,136 △9,725 △37,092  
平成元年度 246 138 13,741 △6,855 △33,724  
平成2年度 250 138 13,982 △7,750 △43,098  
平成3年度 257 138 14,419 △15,370 △57,830  
平成4年度 258 186 15,960 △12,400 △70,230  
平成5年度 310 186 19,326 △25,878 △96,107 新横浜 ― あざみ野 開通
平成6年度 316 186 19,798 △23,291 △119,399  
平成7年度 319 186 20,072 △22,515 △141,914  
平成8年度 328 186  20,564  △22,791  △164,706  
平成9年度 339 186 21,676 △21,125 △185,831  
平成10年度  344 186 23,020 △17,401 △203,232  
平成11年度 375 228 25,013 △18,529 △221,761 戸塚 ― 湘南台 開通
平成12年度 412 228 27,435 △18,179 △239,940  
平成13年度 427 228 28,334 △16,352 △256,292  
平成14年度 435 228 28,823 △13,987 △270,279  
平成15年度 443 234 29,277 △8,500 △222,829 1000形を3000R形に置換え(2編成)
平成16年度 449 234 29,406 △6,989 △229,818  
平成17年度(予算) 455 228 31,201 △5,406 △235,224 2000形を3000S形に置換え

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