103 


昨年6月に山手線にE231系がデビューして半年あまりがたち、山手線で新車に遭遇する機会もだいぶ、増えてきた。それと同時に205系の転出も行われ、各線区でも従来型である103系の淘汰が目に見える形になって現れてきた。かつては通勤列車の代名詞で山手ウグイス、京浜東北ブルー、中央オレンジ、総武カナリア、常磐エメラルドグリーンと主要5線区にそれぞれ5色の103系が走っていたが、現在では常磐線以外ではすでにその姿はなく、郊外支線クラスにその姿を残すのみとなった。そして常磐線でも、1、2年内に全車の置き換えが決定しており、その他線区でも姿を消すものもでてくる。そこで今回は、首都圏に残る5色の103系を追いかけてみた。

スカイブルー 京葉線
京葉線スカイブルーの103系
数は少なくなってきたもののまだまだ活躍は続く。
他に関西地区の阪和線でも見られるが、高運転台は京葉線のみである。
そして、103系を少数派に追い込んだ総武緩行線から転入してきた
201系。関西でしかみられなかった201系スカイブルーが京葉線でも
見られるようになった。

まずは、京葉線から、朝7時過ぎに新木場に到着、とりあえず、新浦安まで行ってみる。京葉線を走る103系はスカイブルーと武蔵野線直通のオレンジの2色。総武緩行線からの201系、205系、そして、山手線からも205系が転入し、一方武蔵野線にも総武緩行線からVVVFに改造された8両編成の205系が転入してきたが、それでも、103系全廃とはならないので、しばらくは安泰なのだが、それでも、スカイブルーの低運転台車とクモハはすでにこの世を去ったと思われるし、201系が台頭しており、103系を目にする機会も減ってきた。

京葉線 205系ピンク
東京開業時に京葉線用として登場した205系ピンク。
余談だが、新浦安での緩急結合は女性の車掌同士であった。
京葉線では女性の車掌もかなり多い。男性の車掌は敬礼で挨拶を
交わすが、女性の車掌は今時の女の子のように、低い位置で
手を振って挨拶を交わすところが、やっぱり女性らしい...(笑)。
そして、こちらが、同じく総武緩行線から転入してきた205系。
前面が旧タイプになっているところに注目です。この他に、山手線からの
転入車で側面のドア窓の寸法が短いバージョンもあります。
これで京葉線には3バージョンの205系が存在します。

武蔵野線では、205系が入ってはいるものの、まだまだ103系の牙城で、高運転台、低運転台と両方のバージョンをみることができ、とりあえず全車置き換えの計画は今の段階ではなさそうである。

オレンジ 武蔵野線
武蔵野線用の103系高運転台。 低運転台も健在です。運行番号窓がなく、正面窓内に表示されています。
武蔵野線 205系
これが、総武緩行線からVVVF改造されて入線した5000番台。
こちらも、前面が旧タイプなのに注目です。

次は武蔵野線で新松戸に向かって常磐線へ。柏乗り換えで取手まで足を伸ばしてみる。やってきた電車は新車のE231系。やっぱりここでも103系の淘汰が進んできているようだ。ここで見られるのは3バージョン。まずは常磐線特有の1000番代と呼ばれる貫通ドアがついたタイプ。そして低運転台タイプと高運転台タイプ。さらに、付属の5両もあるので、クモハもまだ健在である。残念ながら今回は高運転台の写真は取ることが出来なかったが。

エメラルドグリーン 常磐快速線
常磐快速線の103系といえば、この貫通扉のついた1000番台です。
元は地下鉄千代田線直通用として製造されたため貫通扉が設けられました。
こちらは従来の低運転台タイプです。この他に、高運転台タイプもあります。
しかし、現在、その数を急速に減らしており、2004年中には全車がE231系に
置き換わる予定になっています。
常磐快速線 E231系
新旧の2ショット。 E231系です。常磐線にもとうとう入ってしまいました。
常磐線普通列車
415系。常磐快速線には1本置きに中距離電車も走っています。 こちらはステンレスカーの415系1500番台

柏で駅そばなどを食べながら、再び、新松戸から武蔵野線で武蔵浦和へと向かう。武蔵野線は東京の外環状線になっており、北総線や東武線等とも交差しながらいつしか埼玉県へと入っていく。武蔵浦和からは埼京線、川越線直通で川越まで行く。快速電車は大宮までの快速運転で小江戸と呼ばれる川越まで各駅に停車。川越には埼京線の電車区があるのだが、表記が「宮ハエ」になっているのは大宮支社の宮と、かわごえを旧かなづかいで「かはごえ」と書くところから「ハエ」となっているそうだ。そして川越ではお目当てのウグイスの103系とご対面。滅多に川越線に乗らないので、ウグイスの103系に会うのは本当に久しぶりで山手線時代を思い出させてくれて懐かしい。側面は半自動ドアに改造されて3000番代を名乗るが正面の高運転台の表情はかわらず、当時の面影がそのまま残っている。鉄道模型のKATOのカタログでも103系が一番似合う色はウグイスと言われているように本当にしっくりくる。高麗川からは電化されている八高線に乗り入れるが、高麗川ではキハ110系なども見ることができ、だいぶローカルな雰囲気が漂ってくる。そのまま拝島までいき、そこから青梅線で 立川へ出る。青梅線も昨年まで103系が入っていたが、すべて201系に置き換わってしまい、立川−青梅間は10両編成で運用され、この区間に限りローカルな雰囲気はもはやない。

ウグイス 川越線・八高線
山手線時代を彷彿とさせる川越線の103系。
ウグイス色はここに健在です。
高麗川までくるとキハ110にも出会えます。
こちらにもキハ30やキハ35の姿はもはやありません。

立川からは南武線カナリアの103系。ここも205系がだいぶ押し寄せているが1本落とした電車が運良く103系であった。このカナリアは関西地区では福知山線で採用されていたが、昨年、消滅しており、南武線・鶴見線を残すのみとなっている。その南武線・鶴見線においてもまもなく全車置き換えというので、103系のカナリアを見ておくなら今が最後なのである。

カナリア 南武線
南武線103系カナリア。 関西では福知山線に残っていたカナリア色が消滅。
ここ南武線でも風前のともし火である。

さて、その南武線で尻手まで行く。そこから今回の置き換え計画でいち早く変わった南武支線(浜川崎支線)へ。ここでは最後まで残っていた101系が205系中間車の先頭車化改造車に置き換わり、独特の前面形状を持った車両になった。この界隈は、さすがに、目新しさか特にイベントもないのに、ファンが何名か来ていた。自分もその一人なんだが...(苦笑)

南武線205系・南武支線205系
これが、山手線から転入されてきた205系。側面のドア窓の
寸法が短いのに注目です。これ以外に南武線用に新製投入された
ドア窓の寸法の長い205系と2編成の209系が入っています。
南武支線の205系 中間車のモハ205、モハ204から改造された
クモハ205、クモハ204の編成。顔は新制のため従来にないものに
なっている。このかげで、
全国で唯一残っていた101系は引退した。

浜川崎からは鶴見線に乗り換える。南武支線と鶴見線は配線の関係上、道路を挟んで斜め前になっているが、無人駅なので、別改札でもとくに問題はない。ひとまずそのまま鶴見へ向かう。この鶴見線というのも、東京、川崎、横浜と言った大都市のすぐそばにあるにも関わらずどこかトワイライトゾーン的な雰囲気をかもし出している不思議な路線である。運転本数しかり、沿線風景しかりである。とりあえず、鶴見線にどっぷりつかる前に腹ごしらえをしよう。ちょうど海芝浦行まで30分近くあるので、駅前の松屋で牛丼なぞを食らう。しかし290円でみそ汁までついて本当に安いねえ...。

カナリア 鶴見線
鶴見駅に停車中の103系。ここの低運転台の103系は、ライトは
ブタ鼻化。下半分は補強版が入れられているものの、初期バージョンに
かなり近いスタイルを保っている。
海芝浦行きは青地に白抜き表示。

まずは鶴見駅、鶴見線の駅は全駅が無人駅なので、京浜東北線との乗換え口にも鶴見線の改札口がある。そして、1段と高いホームから発着する。もうこの時点で、独特の雰囲気がある。まず、最初は、海芝浦へと向かう。浅野から海芝浦支線になり、新芝浦、海芝浦で終点。有名すぎて今更、ここで申し述べることでもないが、東芝の京浜事業所の構内になっており、改札口が守衛室で、東芝関係者以外は改札口をでることはできない。そして、ホームは駅名通り海に面している。ここから鶴見つばさ橋が一望でき、かなり眺めがよい。また、そんな駅が話題になり鉄道ファンはもとより、一般客も訪れるような駅になった。そこで、東芝が、せっかく駅にきても、どこにもいけないのはあんまりだということで、近年、構内に海芝公園を提供。発車までの30分あまりの時間を潰すことができる。そしてまさかと思うが、この駅、な、なんと関東の駅100選に選ばれている。まあ、これだけ特徴があるのだから当然か。

海芝浦支線
海芝浦の駅名標と時刻表。朝晩を除き、日中は1時に1本の運転。 終点の車止めと海芝浦駅の駅舎。東芝京浜事業所の守衛室に
なっており、関係者以外はここから先は入れない。
東芝の粋なはからいで駅構内に最近になってできた海芝公園。
園内の様子。狭いながらベンチが設けられており、折り返し列車を
待つ間、ここで過ごすとよい。
公園はご覧のように海に面している。 そして、鶴見つばさ橋が正面に望める。
海芝浦に停車中の103系。 関東の駅百選認定駅

さて、折り返しで鶴見まで戻り、今度は大川支線へ行く。今日は日曜日のため夕方は2本きり。そう、ここは、平日でも終日運転されておらず、朝と晩の通勤時間帯のみしか電車がないのだ。そして、少し前までは旧国のクモハ12が走っていたのでも有名。さらに、武蔵白石からスイッチバックで大川支線に入線するという運転形態も面白かったのだが、今は車両は103系で、列車も武蔵白石を通らず手前のポイントでそのまま大川へ行ってしまう。いつのまにか、外は真っ暗になり客もほとんどいない大川駅にポツンと止まる電車がなんか寂しそうだ。

大川支線
大川行は黄色地に黒字。 大川駅名標
大川駅時刻表。日中は運転されていない。
休日は朝4本、夕方2本のみである。
大川駅に停車中の103系。

そして再び鶴見へ戻って、最後に本線の扇町へ。本線と言っても運転本数がとりわけ多いわけでもないが、一応、路線は一番長い。「昭和」なるいかにも昭和の一時代を象徴するような駅もある。

扇町
扇町行は赤地に白抜き。 扇町駅名標 となりは昭和。

そんな感じで最後は鶴見線を完乗してしまうようなことをして、今回の首都圏に残る5色の103系を巡る鉄は終了した。


番外編 クモハ12
1994年3月頃の大川支線
かつては首都圏最後の旧型国電が走っていた。

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