アメリカ大陸横断鉄道の旅 1  〜サンフランシスコ編〜


耐え難き耐え、忍び難きを忍んでまじめに会社勤めをして10年。少しは会社も私の苦労を分かってくれているのか、勤続10年目ということで2週間のリフレッシュ休暇と10万円の一時金を貰うことになった。比較的休みの多い会社なので、1週間の休みというのは年に数回取れるが、さすがに2週間もの長期休暇はそれこそ10年に1度しか取ることができず、こんなに長い休暇は入社して以来初めてになる。せっかくの2週間。やっぱり普段は絶対出来ないことをしよう!ってことで、アメリカ大陸を鉄道で横断しようと思い立つ。アメリカといえば、広大な大地、西海岸から東海岸まで約5000km。飛行機でも5時間半から6時間かかる。それを鉄道で横断しようというのだから酔狂といしかいいようがない。ということで行程はまずは東京からサンフランシスコへ飛び、2泊。そこから2泊3日の行程でシカゴまで鉄道で移動。シカゴで2泊。そしてボストンまで1泊2日で鉄道で移動。ボストンにも2泊する。そこからは東部回廊線を下り、ニューヨークへ。ニューヨークで4泊して東京へ帰ってくるという壮大な計画を立てる。
そして2週間も会社を休むわけで、そっちの調整も結構大変だったが、適当にやっつけて、成田から飛び立ってしまえば、もうこっちのもの。とりあえず、サンフランシスコへ向けて飛び立った。


6月11日(土)

始まりはいつもスカイライナー ユナイテッドなので、第1ターミナルの成田空港駅です。

16:00 UA852便で サンフランシスコ行で立ちます。 UNITED 747−400 ちょっと古めの機体でした。

8時間半かかってサンフランシスコに到着しました。
11日16時に飛行機に乗ったのに、同日の午前9時10分
に到着しました。ちょっとタイムマシンに乗った感じです。
最初はリムジンバスに乗るつもりだったのですが、乗り場がよく分からず
ウロウロしていたら、BARTという高速鉄道が空港と市内を結んでいる
ようで、これに乗ることに、早速鉄の開始です。
運賃も4.75$という安さでした。

どこかの国の都心まで電車で2000円、3000円とかかるのとは
雲泥の違いです。
柱にBARTのレリーフがありました。
運賃4.75$と書きましたが、実は券売機でプリペイドカードを買う
仕組みで1回券はありません。ということで5$でカードを買って乗車
しました。
後でよく確認すると1$をクウォーター(25c)4枚に
両替できたので、4.75$のカードを買えば良かったのですが...
BART入線です。なかなかかっこいいです。軌間は1,676mmと
世界最大。最高速度は時速80マイル(128km)でかなり高速です。

郊外は外を走りますが、都心部は地下を走ります。
車内の様子。カーペット張りの床に布製の椅子と、アメリカの
鉄道にしてはかなり良いアコモディションです。

サンフランシスコの中心街であるPowellst駅で下車しました。
サンフランシスコではユニオンスクエアの近くにあるヒルトンホテルに
宿泊。

ホテルで1時間程休んでから早速出かけました。
まずはサンフランシスコ名物のケーブルカーから。

奇しくもトップナンバーです。
こうやってステップ部分に立ち乗りするのがシスコ流だそうです。
しかしこのケーブルカー前面に全日空の宣伝ステッカーが
貼ってありますね。どこでも日本企業の進出が目立ちます。
ケーブルカーは片運転台のため終点にはご覧のような
ターンテーブルがあります。終点のPowell stです。
サンフランシスコの中心地になります。
それでは、そのターンテーブルの上で回転する様子をとくとご覧下さい。
このターンテーブル運転士自ら押して回す手動式です。
これが線路です。真ん中がケーブルが通っているところです。 ケーブル部分のアップです。この溝の中にケーブルが
すごい勢いで走っています。このケーブルを掴むことで
ケーブルカーが走行します。私が鉄ならここをチェックと
ばかりに覗き込むと周りの外人も、一緒に覗き込みました。(笑)
Powell stは本当にサンフランシスコらしい美しい町並みです。
ケーブルカーが実によく似合います。
このケーブルカー地元民の足というよりほとんど観光客
の足として使用されているようです。1乗車3$と料金も
ちょっと高めです。
観光客用には市内のバス、トロリーバス、路面電車、地下鉄、そして
このケーブルカーの全てに乗ることの出来る1日券が9$。
3日券が15$で発売されています。ということで3日用を買いました。
そのほかにも1週間用というのもありました。
車両は半分がオープンデッキ。半分がいわゆる普通の客室に
なっています。
室内は木製のベンチシートです。 これが本当の吊革です。

Powell hyde lineの終点 フィッシャマンズワーフに到着です。 この乗り場もかなり待ち行列ができてましたが、よく観察すると
みんなオープンデッキに乗りたいようで、客室の方は結構、空席が
あったりします。客室の方でよければ意外とすぐに乗れたりします。
サンフランシスコのシンボル、ゴールデンゲートブリッジが見えています。 サンフランシスコ一番の観光地フィッシャマンズワーフです。
ここでは屋台でドラム缶でゆで立てのカニが12、3$で食べられます。
はっきりいってかなりおいしいです。
気分は北海道ののりで食べて下さい。(笑)
デッキに立ち客を乗せて出発していきます。 ケーブルカーですが、PowellStから出る路線は途中で二手に分けれて
フィッシャマンズワーフへ向かいます。フィッシャマンズワーフの駅は
徒歩5、6分離れたところに2つ存在します。ここは海岸から少し
離れた方の駅になります。こちらは Powell mason Lineになります。
当然ながらここでもターンテーブルで方転します。 坂道でケーブルカーがすれ違います。

この路線は先に紹介した2線とは違い、東西に伸びるCalifornia Lineです。
観光客の利用も多くはありません。そしてこの線のケーブルカーは
両運転台のため終点にターンテーブルが存在しません。
坂のアップダウン、ビルの向こうに海、そしてオークランドとを結ぶ
ベイブリッジが見えています。右に見えているのは、渡辺はま子が
歌って有名になった桑港(サンフランシスコ)のチャイナタウンです。
そしてここが両線がクロスする場所。ダイヤモンドクロスですね。
しかし、ここを通過するときケーブルはどうするんですかね?
そしてこのダイヤモンドクロスを通過していきます。
ここがCalifornia Lineの終点になるますが、他の線と違って
閑散としています。
これががたいのいい主に黒人運転士が操作するギアです。
このレバーでケーブルを掴んだり離したりしてケーブルカーを
運転します。

サンフランシスコにはこんなレトロな路面電車が走っています。 片運転台のため後ろはこんな感じです。
車内の様子。 アメリカを始め、世界中から古い車両を集めています。
さしずめ、走る路面電車の博物館です。
こちらは黄色塗装です。 とにかく、1車両づつみんな違っていて面白いです。
ロサンゼルズにあったPACIFIC ELECTRICのものです。
日本語に訳すと「太平洋電気軌道」とでも言っておきましょうか。(笑)
それらしくなりますね。
後ろはこんな感じです。

サンフランシスコにトロリーバスが走ってるなんて知りませんでした。 こちらは連接のトロリーバスです。
側面の様子。長いトロリーポールが特徴です。 スペースの都合で消防車を。日本に比べてごつい感じがします。

6月12日(日)

サンフランシスコの新名所 ピア39です。
お洒落なレストランやショップが並んでいます。
ピア39からみたゴールデンゲートブリッジ。
そして野生のあざらしがたくさんいます。
やはり寒流の影響でしょうか。
せっかくなので、ピア39から観光船に乗りました。
約1時間のクルーズで18$です。
船から見たサンフランシスコ。 サンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島。
実はこの島は刑務所の島です。あのアルカポネも収容されていました。
距離的には近くで、泳いで脱獄できそうですが、強い潮流と
冷たい海水で脱走に成功した囚人はいないそうです。

現在は博物館になっています。
ゴールデンゲートブリッジを間近で見ます。早い潮流と風速40mを超える強風で絶対に架けられないと言われてましたが、ジョゼフ・ストラウスの設計に
よって1937年に完成しました。長さ2535m朱色のアールデコ調の優美なこの橋は技術の高さとデザインのよさで世界からも注目されました。
下をくぐりました。 本当にきれいなつり橋です。
ゴールデンゲートブリッジ全景です。

この車両はかつてはニューヨークのブルックリン地区を走っていました。
黄色と白のツートンカラーがサンフランシスコの街によく溶け込んでいます。
ミラノから来た電車です。 元々両運転台だったものを片側を撤去して片運転台にしています。
室内もミラノで使われていた当時のままで、EXITを示す
イタリア語の「USCITA」のサインがそのまま残っています。
こちらは、金太郎掛けのデザインです。
こちらは黄色とオレンジのツートンです。 赤と白のツートンもあります。
とにかく沢山の種類でとてもじゃないけど全てを網羅しきれません。

早朝のPowellstの転車台。朝7時半頃はまだ観光客もほとんど
いなくてすぐに乗れます。9時を回ってしまいますと長い行列で
乗るだけでも1時間は待たされます。
こちらは早朝の海岸よりのフィッシャマンズワーフ駅のターンテーブル
これがギアというか事実上の運転台になります。
このレバーを操作することで、ケーブルを掴んだり離したりして
速度を調整しつつ進んでいきます。
ケーブルカーミュージアム 鉄なら是非とも訪れておきたいスポットです。
ちなみに入場料は無料です。
昔使われていた木製の巻上げ機です。 古い車両の先頭部の展示
実際に運転中のケーブル巻上げ機を見ることができます。 あまりにも迫力に圧倒されます。
かなりの速度で回っています。 1線につき3つづつありますので4線で合計12個の車があります。
ケーブルカーの仕組みの模式図です。 ここでケーブルを地下に送り、道路下に送り出しています。
かなり初期のケーブルカーです。 こちらもかなりの年代ものです。
古い制服や信号機の展示もありました。 ケーブルカーミュージアムの建物の裏手は車庫を兼ねています。
車庫内の様子 これが車両の下でケーブルを掴むところです。

サンフランシコにはBARTの他にも地下鉄が走っています。
地元ではMUNIMETROと呼ばれています。
MarketStの下を走っているのですが、この下にはBART、路上には
先に紹介した路面電車とトロリーバスが走っています。
つまり3階建で鉄道が走っていることになります。
このMUNIMETROですが、都心部のみ地下鉄で郊外へ出ると
なんと路面電車になります。というわけで、車両も路面電車型が
使用されています。
大リーグ サンフランシスコ ジャイアンツのスタジアムです。
N線の終点近くにあります。
ここは3線(M線、K線、J線)のMUNIMETROの終点になるBalboa Parkです。
近くにはサンフランシスコ市立大学があり、
学生が大勢乗り降りします。
またBARTの乗り換え駅にもなっています。
Balboa Parkには車庫があります。
道路を挟んだ反対側にもこのような大きな車庫がありました。 L線 SF Zoo駅 
N線の終点のOcean Beach駅です。
もうお分かりかと思いますが、MUNI Metroを完乗しました。(笑)
片運転台の車両ではないのですが、終点はループ線になっています。

サンンフランシスコ市役所です。 これがシティーセンターから続くマーケットストリートです。
サンフランシスコのメインストリートになります。
この7色の旗の意味分かりますか?ゲイのシンボルフラグです。
カルフォルニア州とりわけサンフランシスコは同性愛者を社会的に
受け入れ、最近は結婚も認められるようになったというニュースは
まだ記憶に新しいところです。しかし、このような旗が東京でいえば
銀座通りとも呼べるメインストリートに延々と掲げられているのには
文化の違いを感じさせられました。

      1 サンフランシスコ編
      2 カリフォルニアゼファー号
      3 シカゴ編
      4 レイクショア・リミテッド号
      5 ニューヨーク編
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